かつてのような活気を取り戻したミラノ・パリファッションウィーク。原点をあらためて見つめ直す姿勢や、アクティブで華やかなムードが目立った。
アウトドア的要素に注目。23年春夏コレクションレポート

アウトドア的要素
自然と触れ合いたい衝動から!?キャンプをはじめとする野外活動を彷彿とさせるアイテムが続出。
〈Dior〉
メディチ家出身でフランス王家に嫁いだカトリーヌ・ド・メディシスが所有していたチュイルリー公園が会場に。彼女がフランスに持ち込んだと言われるハイヒールやコルセット、ブラーノレースなどを再解釈し、1950年代初頭のアーカイヴのスカーフのパリ・モンテーニュ通り周辺の地図プリント(写真1枚目)も用いた。そうしたクラシックな要素と、アノラック風のアイテム、スポーティなベルトやドローストリングのディテールが融合している。
〈Hermès〉
サイケデリックなスカーフ柄「Le Rêve de Julia(ジュリアの夢)」(写真4枚目)が着想源となり、「a rave in the desert(砂漠でのレイヴパーティ)」がテーマに。会場中央に砂丘をイメージした巨大なオブジェを設置し、ビデオプロジェクションによってカラフルな砂の映像を投影。クラブのような雰囲気の中ショーが行われた。軽量な撥水素材やロープや釘を想起させる留め具のデザインが用いられるなど、テントが持つ機能性やシルエットが反映されている。
〈Miu Miu〉
ファッションを「現実に対する反応を物質的な形に変換する手段」として捉え、コレクションを「IN TRANSLATION」と題した。2022年春夏から続く、ロゴ入りのアンダーウェアをウエストからチラ見せするスタイルは健在。実用的なポケットが装飾的な意味合いも含めてポイントとなり、アウトドアに活用できそうなアウターやレザーのボトムなどに大胆に施された。足元は主にトゥ部分があらわになったシューズ。
〈Tod’s〉
イタリアの職人技を駆使し、素材の品質を追求。特にレザーは身体に沿わせソフトに仕上げている。「夏のイタリアの暖炉」をイメージし、ヌードカラーがメイン。アクティブなムードのアイテムもそろった。足元はドライビングシューズを元にした〈ウィンター ゴンミーニ〉の進化版のブーツ、〈W.G.〉で軽快にまとめている。
〈Sacai〉
「自由」をテーマとし、「ポジティプで、穏やかな強さ、尊厳、喜び」を表現した。ブランドが得意とするハイブリッドのテクニックでオーバーサイズのシャツと防寒ウェアを融合したドレスも展開。スポーティなスウェットの上下はスパンコールで覆い尽くした。「エレガンスの中にある強さ」として、ポケットにも注目。モデルたちは位置にもこだわったポケットに手を入れてシルエットを完成させ、堂々とランウェイを歩いた。