挑戦することを恐れない女性たちやその精神。デザイナーをとらえた想いがコレクションに。
着想源、根底に流れる物語
2024年春夏コレクションレポートvol.04
Saint Laurent
今季のキールックとなったのが、ブランドの真髄とも呼べるサファリルックやジャンプスーツ。クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロは、航空業界や自動車競技などかつては男性のものとされた分野に進出したアメリア・イアハートやアドリエンヌ・ボーランに着目。メンズワードローブを女性の洗練されたスタイルに変えたムッシュ イヴ・サンローランにオマージュを捧げた。ナチュラルな素材感とアクセサリーや小物の辛口な味つけも見逃せない。
Dior
テーマは過去と未来が同時に存在する「現在」。今シーズンもファッションを通じて女性を支持する信念から、男性中心の社会に意義を唱えてきた反逆者たちに目が向けられた。中世の建築的なシルエットや、イタリア人アーティストのアルベルト・ブッリの作品に影響を受け、裂け目や傷、焦げをデザインで表現(写真右)。会場ではエレナ・ベラントーニによるヴィジュアルインスタレーション[NOT HER]が流された。
Alexander McQueen
「このショーは、女性に力を与えることをつねに願い続けたリー・アレキサンダー・マックイーンとの思い出と、チームの情熱と誠実さ、才能に捧げます」と語ったクリエイティブ・ディレクターのサラ・バートン。女性の解剖学、エリザベス1世、真っ赤なバラ、そしてポーランドを代表する彫刻家マグダレーナ・アバカノヴィッチからインスパイア。情熱的なコレクションが、サラのラストシーズンを飾った。
Text&Edit_Aiko Ishii