今年の1月に訪れたパリ。しかしなんだか息苦しい。どうしてもルーティンを無視して違うことがしてみたい!毎回ショーと展示会回りで日程が埋まってしまうのだけど…。こうなってしまっては、私は自分を抑えることができない!メンズ中心のショーを少々スキップさせて頂いて、モヤモヤした心を晴らすべく、私の心の指標であるエレン・フライス(パープル誌創立者)に会うため、パリから列車で6時間の小旅行に出かけることにしました。
前回の記事は、「莉菜ア・ラ・モード」番外編/高円寺「赤天」
スタイリスト谷崎彩の超私的ファッション愛 #23
今年の1月に訪れたパリ。しかしなんだか息苦しい。どうしてもルーティンを無視して違うことがしてみたい!毎回ショーと展示会回りで日程が埋まってしまうのだけど…。こうなってしまっては、私は自分を抑えることができない!メンズ中心のショーを少々スキップさせて頂いて、モヤモヤした心を晴らすべく、私の心の指標であるエレン・フライス(パープル誌創立者)に会うため、パリから列車で6時間の小旅行に出かけることにしました。
前回の記事は、「莉菜ア・ラ・モード」番外編/高円寺「赤天」
いつ遊びに来るのと言われ続けてきたことをついに実行する時がきたのです。突如パリから南フランスの山間にある小さな村に移住した彼女は、自宅の隣で丁寧なセレクトのブロカント(中古雑貨屋)を営んでいました。
「田舎に住んでみて気づいたけれど、服のチョイスがファストファッション系しかなくてみんな同じような格好ばかり。それじゃあつまらないでしょ。とても良くないことだと思う。それでお店を始めたの!週末ごとにアンティークマーケットやスリフトショップをまわったり、家にいてもインターネットのおかげでオークションを覗くことができるし。パリでファッションに関わっていた時よりも、むしろ今こそ、私は人生で一番ファッションを楽しんでるのよ!」
そうだった!いつだってファッションは個人的な楽しみと共にあるのだ。業界に巻き込まれると本来の大切なことを見失ってしまう。やっぱりエレンに会いに来てよかった。私の中で薄れかかっていたパープル魂を取り戻したぞとひしひしと感じているちょうどその時、インスタにDMが届いたのです。
「こんにちは。私はアントワープ王⽴芸術アカデミーのファッション科を卒業してメリル・ロッゲ でインターンをした後、アライアに就職し、ピーター・ミュリエのアシスタントをしていたジュリ・ケーゲルといいます。実は東京に旅行をした時にあなたのお店を訪ねて、その全部が好きになり、自分がブランドを始める時は、絶対ここで取り扱ってもらいたい!と決めていたのです。来月、ウィメンズの日程でデビューするので見にきてもらえませんか?」
その瞬間は彼女のことを思い出せなかったけど、なぜか文章に感じるところがあってすぐに返信しました。「私はもうパリにいます。今回メンズの日程でショールームを回っているので、もう少ししたら帰ってしまうけど、あなたのデビュー、とても良いものになる予感がしています。グッドラック!」「えっ、じゃあ明日アントワープに来られませんか?ぜひコレクションを見て欲しいの!」「…明日!? OK、行くわ!今回はいつもと違うことをしようと思っていたところなの。」エレンと過ごしているうちにモヤモヤも晴れたし、フレッシュな未来へ扉が開いていくようだ(大袈裟)!それにしても人生の巡りあわせって楽しいな。
そんなことを思いながらニヤニヤ歩いているとフィリップ(元A.F.ヴァンデボーストのデザイナー)にバッタリ。「明日久々にアントワープに行くのよ。ジュリ・ケーゲルさんって知ってる?」「もちろん知ってるよ。うちのアンが色々アドバイスしてあげてるんだ。彼女はとっても良いよ!」何?この伏線は!まるで映画のようじゃないですか。ますます楽しみになってきたぞ。
Text_ Aya Tanizaki