〈ルイ・ヴィトン/LOUIS VUITTON〉が仏アヴィニョンにて2026クルーズコレクションのショーを開催。ゴシック建築を舞台に、衣服のパフォーマンス性が探られた。
〈ルイ・ヴィトン〉のシアトリカルな世界
2026クルーズコレクションを演劇の街アヴィニョンで発表

〈ルイ・ヴィトン〉のクルーズコレクションには、いつも旅を希求するスピリットが反映されている。会場となるのは土地を象徴する建築。ショーは、伝統や地域文化を発見する旅そのものを表現しているのだ。
2026クルーズコレクションに際して、ウィメンズ アーティスティック ディレクターのニコラ・ジェスキエールが選んだデスティネーションはアヴィニョン。仏南東部のこの街は、14世紀頭に初めて教皇庁が置かれてから約70年の間、ローマに代わるキリスト教世界の首都となった。この時期に建設されたのが、今回のショーの舞台となったパレ・デ・パプ(教皇宮殿)だ。ユネスコの世界遺産にも指定される荘厳なゴシック建築は単に歴史を伝えるだけでなく、街の文化を象徴する場所でもある。1947年、宮殿の中庭を会場としてアヴィニョン演劇祭が誕生。以降、フェスティバルの時期にはこの街に国内外から多数の参加者が集まり、演劇ほかパフォーマンスアートを上演している。
発表されたコレクションは、様々な登場人物が個性豊かに物語を紡ぐ一遍の戯曲のよう。大胆なヘッドウェアや、キャラクター性を強く打ち出すシルエットからは、ファッションが与えるパフォーマティブな力が滲み出ている。台詞がなくとも、ワードローブが人物について多くを語るものなのだ。
〈ルイ・ヴィトン〉と芸術との繋がりを改めて示したショー。アヴィニョンには、各国でカルチャーを牽引するゲストらが集った。
本コレクションによって、中世から続く街の文化に、装いの力を探求するエスプリが連なることとなった。
Text_Motoko KUROKI