呑兵衛も、白飯派もウェルカム!
すべてを委ねたくなる、心尽くしの和食店
あぁ、なんと優しい味わいだろう。フレッシュな芋茎を炊いた冷菜を口に含んだ瞬間、思わず心の声が漏れてしまう。店主の澤畑加世子さんが一人で切り盛りする和食店は、品数の多さにまず驚いてしまうが、そのすべてが丁寧に仕込まれた無添加のお惣菜。自慢は信楽雲井窯の御飯鍋で炊き上げる土鍋ごはん。澤畑さんは「この子を店に置く風景を思い描いて、壁の色にも手塗り仕上げにもこだわった」ほどの惚れ込みよう。蓋を開ける前からコメの甘い香りが立ち込め、中からツヤツヤと輝く白米が現れる。一口頰張れば、おいしくするためのひとつひとつの工程に真摯に向き合う姿勢がうかがえる。その仕事に一切の手抜きがなく、使用する食材はもちろん、酒、器、グラス、一膳の箸選びに至るまで、すべてに物語がある。「使うものはなるべく作り手の顔が見えて、お話ができる人がいい」と、気になる作り手の元へはフットワーク軽く会いに行く。フードコーディネーターを経て、京ばんざいと薬膳の名店で修行したという経歴を聞いて納得。基本は選べる2種類のコース。日本酒をちびちびやりながらアラカルトの追加もOKだし、前述の土鍋ごはんのセットで締めるもよし。手をかけ、真心込められた品々に心も身体も大満足だ。