じめじめじとじと、梅雨の時季だから仕方がない。その昔、旧暦の五月五日に雨が降ると、「薬降る」と言い習わしたとか。竹の節に溜まった雨を神水として尊び、飲むと薬効があるとされていたのだから、雨は天からの恵み。田んぼにたっぷり水が溜まれば、稲穂もすこやかに育つ。
とはいえ、身体にはちょっとキツい。どうしても湿気には体力を奪われる。湿度が高くなれば汗が蒸発しにくい→体温調節がぎくしゃくする→熱が体内にこもりがち→体力を消耗……悪循環に陥るから要注意。私の場合、梅雨のあいだは頭痛に悩まされる。高校生の頃からずっとそう。雨が続くと、頭も身体も重だるい。
なんだか憂鬱な話になったけれど、言いたいのはソコではなくて。
身体は、食べたものでつくられる。調子を崩しやすい時期だから、しっかり食べて体力をつけて切り抜けましょう。
ツルツルっと手近なうどんかそばもいいけれど、やはり大事なのは〝栄養のあるおいしいもの〟。おいしいって大事なんです。おのずと食が進むから。
今月勧めたいのが、フムス。中近東あたりでよく食べられているひよこ豆のペーストです。豆は、とても優秀な植物性たんぱく質。良質な栄養素を摂って自分のエネルギーに変えたい。私も、少し多めにつくって常備しています。
地味だけれど、フムスってすごい料理だな、といつも感心する。とくに目立つところのない味のひよこ豆に、ごまの風味、レモンの酸味、にんにくの香りをミックスして、魅惑のおいしさに変える。オリーブオイルをたっぷり加えるのも、ポソポソしがちな豆をなめらかに変えて食べやすくする知恵。そして、なんといっても食べやすい。ペーストだから胃に優しく、消化にいい……中近東の食文化の奥深さを垣間見る。
ちょっと多めにフムスをつくっておくと、とても重宝する。パンやクラッカーに塗ったり、野菜をディップしたり、肉料理のつけ合わせにしたり、大活躍。疲れて帰ってきた夜も、おいしいものが待っている。
【材料】
ひよこ豆(乾燥)200g
練りごま大さじ2
おろしにんにく小さじ1/2
レモン汁大さじ1
オリーブオイル大さじ2〜
塩小さじ1弱
こしょう適宜
粉唐辛子適量
【つくり方】
①ひよこ豆をボウルに入れ、たっぷりの水に浸して半日以上置いて戻す。
②鍋にたっぷり湯を沸かし、❶のひよこ豆をゆでる。(浮いた皮は除く)
③フードプロセッサーかミキサーに❷を入れ、ゆで汁を1/4カップほど足して、なめらかなペースト状にする。
④練りごま、おろしにんにく、レモン汁、塩、こしょうを加えて全体を混ぜる。
お皿に平たく盛ってオリーブオイルをかけ、粉唐辛子を散らすと、オリジナルのフムスに近づく。より簡単につくるなら、ひよこ豆の缶詰を使う。練りごまも、なければすりごまで代用してみてください。乾燥豆200gは少し多めですが、半分は冷凍しておくと便利です。来たる夏を元気に迎えましょう!