麻生さんのお弁当は、茶色多めで、一見ちょっと地味。でも、口にするととんでもなく美味しくて、じんわり沁みた。「こういうのが食べたかったんだ」撮影現場にいたスタッフ全員が口を揃えた。今月はとっておきのごちそうが簡単にできてしまう保存版。
麻生要一郎 ときめきの枯れ飯レシピvol.5 ローストビーフ、薬味サラダetc…
ローストビーフ
薬味サラダ
和風キャロットラペ
今月も、麻生さんから献立が届いた。
枯れ飯の定義を揺るがしかねない(!)
ごちそうの代名詞。
三つ葉とみょうが。鼻腔が喜ぶサラダ。
みんな大好きなキャロットラペが和風とな。
焼く前に肉を常温に戻す。この日はもも肉を使用。フライパンに牛脂を熱して肉をのせたら、もうあまりいじらないこと。焼き色がついたら裏返し、両面焼いたら側面も焼き色がつく程度に焼く。焼けたらホイルに包んで20分〜休ませる。厚さもごちそうの一部だから、思いきってかなり厚く切ってみよう。
漬けタレも下味もいらない。おいしい肉をただシンプルに焼くだけ。これぞ枯れめしの王道。肉の焼き時間は、厚み1センチ=1分が目安。今回は6,7センチの厚みがあるから、両面2〜3分、側面1〜2分で計7分くらい。
もうひとつの主役が、このスパイス醤油。7種類のスパイスを醤油に漬け込んで、1日〜置く。左から、ブラックペッパー(粒)、ホワイトペッパー(粒)、クミンシード、クミン(パウダー)、クローブ、カルダモン。プラス、生姜のスライス。多国籍で複雑な風味だけど、醤油のまとめ力でちゃんと和風に着地している。おいしいソースを試行錯誤して迷子になっていた人には嬉しい。
三つ葉とみょうがは好きなだけ。塩(お好みの加減で)、オリーブオイル1、酢0.5を加えて混ぜ合わせる。
バルにも居酒屋にも、キャロットラペが置かれるようになったときは嬉しかった。酒の席の酸っぱい緑黄色野菜はとっても大事だから。
人参は千切りでもいいし、今回のレシピのようにおろし金でギザギザにしてもいい。味がよくしみる。塩(お好みの量)、酢0.5、ごま油1を加えたら、よく混ぜて、最後に鰹節をたっぷり。ニッポンの食卓に合う麻生さん式のラペ、出来上がり。
さあ、いただきましょう。
喉ごし重視のシュワシュワもいいけど、赤ワインも恋しくなる季節。上等の肉で作った、これ以上ないシンプルなローストビーフに、しゃくしゃく歯応えの人参、そして薬味のサラダ。肉の旨味、野菜の酸味と歯応えがひとつのテーブルにのった理想的な秋ごはん。レシピはのせてないけど、麦ご飯とふわふわのかき玉汁が控えるなんて最高の組み合わせだ。
■ワインのこと
タケダワイナリーのサン・スフル 赤。日本で改良されたベリーA種を使用。ぶどう由来の濁りが生きた、素朴で力強い味わい。今日みたいな肉を主役にした和食にすっと寄り添ってくるから不思議だ。
■器のこと
ローストビーフの白い皿/笠間焼 森川泰治さん
薬味サラダの木のボウル/桜の木で出来ている。「作家さんは失念。ごめんなさい」
和風キャロットラペ/コンランショップ(かなり昔のものとのこと)