ちゃんと息抜きできてますか?忙しい毎日から少しはなれてリフレッシュするのも大切。遠出でも近場でもできるみんなの“私ならではの旅”を集めました。ライターのサトウリカコさんの場合は?
泊まりたい場所を主役に沖縄旅行。暮らすように滞在する今帰仁村『irregular INN Nakijin』

いつものように行き先や、やりたいことを決めてからホテルを探すのではなく、泊まりたい場所をメインに計画を立てるのも旅のスタイルの1つ。沖縄を訪れた回数は10回以上、沖縄大好きの私は、今回本島にニュースタイルな宿がオープンしたと聞きつけて、オルタナティブ・バケーションハウス『irregular INN Nakijin』にお邪魔してきました。
いつもの行き先も、宿から選べば違った旅に
今回の旅の主役となる宿『irregular INN Nakijin』があるのは、沖縄本島北部の国頭郡今帰仁村(くにがみぐんなきじんそん)。美ら海水族館から車で20分、と聞くとおおよその場所がわかる方も多いかも。沖縄へは何度も足を運んでいるものの、滞在がしたことないエリア。そして、昭和40年築の木造平屋をリノベーションしたという、素敵な建物に一目惚れ。那覇空港から高速で1時間半、アクセスがいいとは言えないこの小さな町へ行ってみたい!と思ったのでした。
沖縄を縦断、寄り道も楽しい
那覇空港から宿のある国頭郡今帰仁村までは、沖縄を北上しながら縦断するルート。沖縄って縦にぐーんと長いから、意外に北のほうへ行くことって少ないんです。いつもなら「ちょっと遠いかな。」と諦めてしまう気になるお店へ、寄り道しながら北を目指すのがおすすめ。宿の近場から、通過地点のおすすめスポットをご紹介。
訪れた人によって、いかようにも
中庭とシンボルツリーのミツヤヤシの木を挟んで向かい合う母屋とキッチン。ラグジュアリーとはまた違った、普段味わえない贅沢な空間です。
宿に到着。向かい合う母屋とキッチン棟を目の前にして、これからここに泊まるんだ!と、ワクワクが止まらない。中へ足を踏み入れれば、ストーリーを感じさせるインテリアや実用的なキッチンのつくりなど、訪れた人の居心地に寄り添った仕掛けがたくさん。最大7名まで宿泊できるので、友達同士でアクティブにバーベキューや地のものを使った料理を楽しむのはもちろん、2,3家族で集まり、観光をしながら日々の生活の延長のようなスタイルで滞在することも。もちろん、1人やカップルで訪れて、仕事をこなしながら静かに時間を過ごしたっていい。滞在中に「次は誰と来ようかな。」と想像が止まらなくなる。また訪れることを想像できる場所って素敵なことだ。
『irregular INN Nakijin』の仕掛け人は?
ここから居心地のいい宿をつくるために、どう化けさせるか?を企んだスタート地点。古家の内装を解体した状態。元のお家をベースに、1からのリノベーション。すごい!
ホテルとも旅館とも違う、まるでセンスのいい友人の家に滞在しているかのような、不思議な居心地の良さを感じるこの宿。どんな経緯で作られたのか気になって、仕掛け人である東京R不動産の室田さんにお話を伺いました。「僕も沖縄が大好きなので、いつか沖縄にも拠点が欲しいと思っていました。でも別荘って、所有しても結局たいして行かなくて、それならたまにいい宿に泊まった方がいい、と手放すことが多いイメージがありますよね?では宿は?というと、自分が泊まりたいと思える宿がすごく少ないことに気がついたんです。そこで、自分の好きなものに囲まれた別荘を、宿として世界中の方々にシェアしてみることで、”別荘の持ち方のアップデート”ができるんじゃないか?と思いついて、実験してみているのがこのプロジェクトなんです。」
確かに、インテリアも内装も、ただ商業的に作り込まれた「おしゃれさ」だけじゃない、統一感のある温もりが感じられる。各国でAirbnbに泊まってきましたが、「安く」て「便利」と言った条件で選ぶことが多いので、こだわりや居心地の良さを感じられる宿に出会うことってなかなかない。
この宿に滞在すると、目に飛び込んでくる「WHY Are We Here?」というキーワード。沖縄の優しい風に吹かれながら、何で私はここに来たのかな? とじわじわとその言葉を心の中で反芻する。わざわざ遠く離れた「自分の家のような」場所に行って「自分の好きなように」過ごす。インターネットのおかげで、ルートも泊まるところも、アクティビティも自由に選びながら旅行ができるようになった今、これも新しいバケーションの過ごし方のひとつだと思う。
irregular INN Nakijin
イレギュラー・イン・ナキジン
〒905-0401
沖縄県国頭郡今帰仁村仲宗根269
irregular.co.jp/inn/nakijin
instagram @irregular_inn
Photo: Minto Shibuya, Rikaco Sato text: Rikaco Sato, Edit: Aguri Kawashima