「GINZA SIX ガーデン」(屋上庭園)に現れた、カラフルな物体。これは公園?それともパズル?アーティストユニット「ウェイド アンド レタ」が創り出した不思議で楽しい作品空間に飛び込んでみたい。展示は2024年5月31日(金)まで。
「GINZA SIX」の屋上にアートパーク現る
「ウェイド アンド レタ」による鮮烈インスタレーション
広い空のもと芝生が広がる「GINZA SIX ガーデン」(屋上庭園)は、普段は静かな憩いスポットだ。ここに今、ポップな色合いの複数の物体が出現している。
それはまるで、空から大きな構築物が落ちてきたような状態。いくつものブロックが立ち、または倒れ、または重なっている。そしてそのそれぞれが、赤や青、ホットピンクやミントグリーンといった鮮やかな色で塗り分けられているのだ。さらに、真ん中に不思議なフォルムの空洞を持ったものもある。ひとつは漫画の吹き出しのごとくギザギザの形でくり抜かれていて、近づくと、その空洞の向こうにさまざまなビルが見える。
実はこれは、米国のアーティストユニット「ウェイド アンド レタ」によるインスタレーションだ。ニューヨークを拠点に活動する二人は、展示の意図をこう語る。
「この作品のテーマは、"Falling Into Place"。あるインスタレーションが空から落下して着地しているところをイメージしたものです。各ブロックを、あえて不安定に見えるように意図して設計。屋上庭園に突然色の重なりや物量感が現れたときに空間はどうなるのか。空間や空洞に対する新しい感覚を生み出してみたいと思ったのです。こういったスペースでは、誰もが気軽に作品に触れられ、体験できます。この展示内で登ったり、立ったり、寝転んだり、いろいろな過ごし方をしてほしい。訪れた人に、好きなように楽しんでもらうのが狙いです」
物体がもたらす「意外性」ごとデザインされた展示ということだろう。インスタレーションでは、絶妙なバランスで色と形が立ち並ぶ。歩み寄ると、まるで極彩色の遺跡のように、そこに生まれた空洞(Void)が独自の物語を語っている。爽やかな春の風が吹き抜ける中、ギザギザ部分に腰掛けて一息を入れる人もいれば、友達同士で隠れんぼをしている人もいる。
エネルギッシュな"落下物"を生み出したウェイドとレタ。元々日本のアニメやビデオゲームのファンで、東京という街への愛も深い。
「私たち二人はモノや人が密集している場所に居心地の良さを感じます。その点で東京に匹敵する都市は多くありません。とくに銀座は、喫茶店もあれば神社もあり、静かなバー、ギャラリー、建築物、そして世界的に有名なショッピングセンターが揃っている。常に新しいインスピレーションを与えてくれるこのエリアが大好きです。日本や日本語について知ろうとすればするほど、来日時の学びも深まっていきます。もちろん、尊敬する日本の芸術家やクリエイターも多くいます。イサム・ノグチ、杉本博司、三宅一生、岡本太郎、イエロー・マジック・オーケストラ…数え始めるときりがありません!」
そして「GINZA SIX」自体も、彼らに刺激を与えるアートスポットだろう。現在、館内中央吹き抜けに現代美術作家ヤノベケンジの新作「BIG CAT BANG」が迫力満点で登場している。福を招く猫がアストロノートとなり、宇宙空間に見立てられた吹き抜けを舞う。浮かんでいる宇宙船には、岡本太郎作「太陽の塔」へのオマージュがたっぷりと込められている。
インスタレーションが着地している屋上に、宇宙猫が飛び交う中央吹き抜け。春の「GINZA SIX」は、感性を刺激するドキドキで溢れている。
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Wade and Leta
ウェイド アンド レタ>>ニューヨークを拠点に活動するクリエイティブ・スタジオ。"Music for Your Eyes"をモットーに、デザインやアートの分野で様々なチャレンジを続ける。
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ヤノベケンジ
やのべけんじ>>1965年生まれ。現代美術作家、京都芸術大学教授。2017年より、大航海時代に長い船旅に寄り添った「船乗り猫」をモチーフに「SHIP'S CAT」シリーズを制作開始。今回の「BIG CAT BANG」も、同シリーズの新作アート。
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【「GINZA SIX DOKI DOKI 2024」】
期間_開催中〜2024年5月6日(月・祝)
*ヤノベケンジ作品は2025年夏頃まで展示予定。
会場_GINZA SIX
住所_東京都中央区銀座6-10-1
Tel_03-6891-3390(GINZA SIX総合インフォメーション 10:30〜20:30)
時間_10:30〜20:30(*レストランは11:00〜23:00)
【ROOFTOP ART PARK「Falling Into Place」】
期間_公開中~5月31日(金)
場所_GINZA SIX ガーデン(屋上庭園)
開放時間 _7:00〜23:00
Photo_Yasuyuki Takaki Text_Motoko KUROKI