2024年2月、ニューヨークファッションウィークの舞台裏でプロ向けの商品としてデビューを果たした〈ダイソン〉の「Dyson Supersonic r™ヘアドライヤー」。その後、ミラノやパリのコレクション会場でもヘアセットする道具として大活躍。そして、このたび新しく一般向けモデルが発表された。日本先行発売にあたり、ダイソン ビューテイープレジデントのキャサリーン・ピアースとエンジニアのギャビン・ギャリガンが来日。一見して髪を乾かす道具とはわからないほどユニークな形のドライヤーは、どのようにして生まれたのか。
〈ダイソン〉が325gのヘアドライヤーを日本先行発売!
小型で軽く速乾性にも優れた新作の秘密を開発者に尋ねた
──なぜ、新製品「Dyson Supersonic r™ヘアドライヤー」の発表の場としてファッションウィークを選んだのでしょうか?
キャサリーン・ピアース(以下、キャサリーン) ヘアスタイリストの方に向けて提案した製品だったので、まずプロフェッショナルな現場で使っていただきたかったんです。慌ただしいバックステージの環境で、たくさんのモデルを独創的な髪形にすることができれば、今後、どんなケースにも対応できると思いました。〈イッセイミヤケ〉や〈クリスチャン・シリアノ〉のショーで使っていただいた結果、「とても軽いのに、電源を入れるとパワフルで気に入りました」という声をいただきました。
──先にプロモデルから出来上がったという新製品。そもそもどのように開発をはじめたのでしょうか。
キャサリーン 実は、プロ向けに作った製品は今回がはじめて。本格的に動き出したのは、おそらく9年ほど前ですかね。ジェームズ・ダイソンから、「どうしたら現行品の『Dyson Supersonic Shineヘアドライヤー』をより良い製品にできますか」とお題を出されたのがきっかけです。
ギャビン・ギャリガン(以下、ギャビン) 〈ダイソン〉は、常に問題解決に取り組むことで、新しいものを生み出しています。そのため、消費者の声を集めて、なにが求められているのかを探るところからスタートします。
キャサリーン 今回、調査は23カ国で実施しました。各マーケット1000名にアンケートをとっています。日本では、くせ毛や乾燥に対する悩みの声が多く寄せられました。
ギャビン プロモデルを製作するにあたって、スタイリストの方々にも話を伺いました。彼らは、長時間ドライヤーを持つ必要があるため、軽量でより小さい製品を求めていることがわかりました。
キャサリーン そうして誕生したのが「Dyson Supersonic r™ヘアドライヤー」。重さは、325g。以前の製品よりも、30%小さく20%軽くなっています。人間工学に基づいて設計しているので握りやすく、どのような角度からも持つことができる。そして、手が届きにくい後頭部の方まで快適に乾かせる形状に仕上げています。90度にカーブしていても、風がスムーズに流れる工夫もしました。
ギャビン 一番の課題は、軽さを追求しながらも、上質なヒーター性能を備えること。コンパクトにするのを優先すると、どうしてもパフォーマンスが下がってしまう傾向にあります。まず〈ダイソン〉のヒーターテクノロジーの再構築から取り組みました。そうして、世界で初めて小型でパワフルな流線形ヒーターテクノロジーを開発。この完璧な状態でお届けできるようになるまで時間がかかりましたね。
キャサリーン 従来のドライヤーから出る気流には温度にムラがありました。ヒートマップで見るとわかるのですが、新しい「Dyson Supersonic r™ヘアドライヤー」は、バランス良く熱が分散されています。つまり、過度な熱によるダメージを防げる上に、速乾性にも長けているんです。
ギャビン 熱を均一に気流に伝えられる流線形ヒーターテクノロジーは、コールドショットへの切り替えが素早いのも特徴です。スタイリングの精度を高め、まとまりよいヘアを作れます。
──日本人の髪の悩みも解決してくれそうですね。
キャサリーン 調査によると、80%の日本人は毎晩髪を洗っているので、速乾性のあるドライヤーは扱いやすいと思います。あと部屋にあっても気にならないコンパクトな見た目も重要視されていました。
──一般向けモデルの先行発売の国として、日本を選んだ理由は?
キャサリーン 80年代にジェームズ・ダイソンが初めて掃除機の「G-Force」を販売したのが日本だったんです。昔から縁のある地で発表することに決めました。
──日本限定の「セラミックピンク」はやわらかな風合いが素敵ですね。
ギャビン 実は〈ダイソン〉の象徴的なブルーは石をモチーフにしているんです。そんな風に日常に潜んでいる美しいものからヒントを得て製品に取り込んでいます。「セラミックピンク」は真珠をイメージしました。
キャサリーン 本物の真珠に近づけるため、色、ニュアンス、光沢を表現してます。あと桜の季節なのでピンク色はぴったりですね。
──最後に完成した「Dyson Supersonic r™ヘアドライヤー」に対して、“〈ダイソン〉らしい”と感じたポイントを伺いたいです。
ギャビン 新しい技術を取り入れながら問題点を解決していく過程でできたプロダクトは珍しいのではないでしょうか。
キャサリーン 市場には一切出ていない革新的な製品を打ち出すのは〈ダイソン〉ならでは。これからもなお、追求し続けて進化を遂げていきたいです。
🗣️
キャサリーン・ピアース(右)
ビューティープレジデント。2022年11月に入社して以来、消費者マーケティングを中心に強固な経歴を持つ。
ギャビン・ギャリガン(左)
ビューティー部門のシニアエンジニアリングマネジャー。過去には、「Dyson Supersonic Shineヘアドライヤー」をはじめとする数々の美容機器の開発に携わる。
ℹ️
Photo_Wataru Kitao Text_Nico Araki