
Dumb Type《Playback》©Centre Pompidou-Metz / Photo Jacqueline Trichard / 2018 / Exposition Dumb Type
「ダム(セリフの排除)」という手法を選択し、装置、映像、音、これらに反応するパフォーマーの生の身体によって構成される彼らの作品は、デジタルと身体が新たな関係を持つことで生まれる「ポストヒューマン」のヴィジョンを、その革新的な視覚言語と思想によって表現したパイオニアといえるだろう。
本展は、2018年にフランスのポンピドゥー・センター・メッス分館で開催された個展をバージョンアップした内容。結成35周年の契機に、新作を含む6点の大型インスタレーションを一挙に目にすることができる。圧倒的な空間体験によって、ダムタイプの世界が味わえる貴重な機会だ。

Dumb Type《pH》 Photo: Kazuo Fukunaga
《pH》2018は、パフォーマンス《pH》(1990年初演)の象徴的な舞台装置を再現した作品。初演では、大きなトラスがパフォーマンス・エリアを横切るように移動し続け、常時パフォーマーの動きを制限していた。今回は、そのトラスが、スキャナーのようにコンピュータ制御で動き続ける。
「pH」とは、物質の酸性/アルカリ性の度合を示す用語。パフォーマンスは、二項対立の図式にそって13のphases―「問い/答え、イメージ/言葉、事実/虚構、拡張/圧縮、公/私、現実/非現実、攻撃/防御、緊張/弛緩、生産/再生産、男/女、外/内」、そして最後に第一場と最終場に共通する「開始/終焉/再開」から構成されていた。