ADOREのセットアップのニットとスカートです。実に大人っぽい。そしてとても上品。 ニットのセットアップの上品さはどこから醸されるものなのでしょう。
その柔らかさ?
女性の身体の柔らかさをそのまま損ねることなく包むことで、柔らかさが内から外に膨らんでいるように感じられます。
またニットは、平面的な布地のような顔をしていて、近づくと立体的。これがまたグッときます。
素晴らしい絵画を見た時に、何度も「これは立体だ、彫刻だ!」と思ったりしませんか?
写真には写らない、写っていても体感することができない、その立体感。絵の前に立ち、顔を近づけると、突然気がつきます。キャンバスから油絵の具がもりもりと盛り上がり、さまざまな表情を見せていることに。陶然となってしまいます。ニットにもそんなことを感じることがあるんですよ。
美しいニットに身を包んだ女性がいる。遠目で見ているときにはわからなかったけれど、心打ち解けて距離を縮め、触れんばかりに近づいたときに突如目に飛び込んでくるニットの立体感。
そこまで近づくことを許された者だけが感じることができる編み目。
この距離感が上品さを醸成しているのでしょう。また、その上品さの向こう側には生身の身体の艶めかしさがある。それが網目から漏れ出てきます。いやあ、実に大人ですねえ。