人類最大のテーマ「おしゃれな女」について考える企画。今回は注目の若手ファッションデザイナー、タロウホリウチさんと山縣良和さんが登場。90年代カルチャーに影響を受け、海外でファッションを学んだ2人が語る「服とおしゃれと女性」。
人類最大のテーマ「おしゃれな女」について考える。タロウホリウチ&山縣良和が談義

ファッションをのみ込むキャラクターで!
ホリウチ この前パリコレに行ったとき、コム デ ギャルソンのコレクションで見かけたカルラ・ソッツァーニ(「ディエチ・コルソ・コモ」ディレクター)がめちゃくちゃカッコよかった。彼女は自分をよくわかっている人だから、スタイルもミニマルで黒か白しか着ないんだけれど、そこに抑制とは真逆のパッションが見え隠れする感じがある。真っ黒なアライアやバレンシアガを着てるのにかわいい。
山縣 僕も同じ時期にパリに行って。10年ぶりだったけど、パリはやっぱハンパなかった(笑)。以前住んでたときはロンドンのほうが街も人もファッションも魅力的だと思ったけれど、それは若気の至りだったのかもしれない。今回久々に行ってみたら、ファッションも建築も食べ物も、文化の厚みが違うなって。おしゃれな人に遭遇する率も高くて、カルラじゃないけれど年配女性のファッションがすごくいい。最新モードでも、長年着ているものやチャリティショップで購入した古着もちゃんとミックスしている。ホントかわいい。おばあちゃんにばっかり目がいっちゃった。
ホリウチ おばあちゃんが素敵なのは、ファッションを着るというより、キャラクター本人が呼び寄せているからだと思う。そして、ファッションを自分の中にのみ込んでいる。それが本当におしゃれなんだろうなと思う。
山縣 僕ら日本人は、基本的におしゃれでみんな一定のレベルを保っているけれど、トレンドにガチガチに縛られてファッションにキャラクターがのみ込まれてる人が多いと思う。
ホリウチ 作り手側としても、キャラクターに服を着てもらいたいし、自分の服をこんなふうに着るんだと驚かされることが好き。
山縣 90年代カルチャーに影響を受けた世代だからそう思うのかもしれないけれど、あの頃はキャラが前に出てくる人が多かった。記憶に残る女性はホンマタカシさんの写真のなかが多いなあ。市川実和子・実日子姉妹とか。
ホリウチ そのままの女性を写すのが素晴らしいよね。山縣 昔の『オリーブ』も好き。男もののジャケットを女性が着るスタイリングとかいま見ると新鮮。
ホリウチ ハッとする人ってどういう人?
山縣 僕は古着が好きだから、ミックスファッションが気になるんだけど、たまに出所不明の服を着る人がいるとドキッとする(笑)。
ホリウチ ファッション占い師じゃないけれど、職業柄、服を見ればその人がどんなライフスタイルを送っているのかとか、だいたい想像がついてしまう。でも、センスのいい解読不能の人に出会うと興味が湧いてしまう。
山縣 解読不能の人はカッコいい。本当におしゃれな人は神秘的だと思う。
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タロウホリウチ
1982年東京生まれ。15歳で渡英。キングストン大学を経て2007年アントワープ王立芸術アカデミー卒業。09年自身のブランド〈タロウホリウチ〉設立。
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山縣良和
1980年鳥取生まれ。19歳で渡英。2005年ロンドン芸術大学セントラル・セントマーティンズ卒業。07年自身のブランド〈リトゥンアフターワーズ〉設立。