みなさん、お久しぶりです!岡村ちゃん番のライターKです。2012年9月から今年4月まで続いたGINZAの人気連載「結婚への道」は、結婚経験のない岡村ちゃんこと岡村靖幸さんが、結婚経験者、あるいは離婚経験者、独身者のゲストに「結婚とは?」を問う対談連載でした。その単行本・第2弾『結婚への道 迷宮編』(小社刊)がいよいよ11月1日から発売になります!ということで、岡村ちゃんの結婚クエスト完結(!?)を祝してのインタビューを、岡村ちゃんの珠玉のソロ写真(ライターKの独断と偏見によるベストショット選)とともにお届けします。ゲストとの2ショット写真は、インスタやツイッターの『結婚への道 迷宮編』アカウントでご覧になれますので、そちらもぜひチェックを!
岡村靖幸の婚活、ついに完結!? 新刊『結婚への道 迷宮編』インタビュー。

だということですよね。
──第1弾と比べると、深みが増した感じがします。前回は「結婚への道」を探り探り前進する感じがありましたが、今回はより深い部分に踏み込んだインタビューが多いなと。
内容が非常に濃いですよね。これも登場してくれたゲストの方々が真摯に話をしてくれたからだと思います。俳優、タレント、ミュージシャン、哲学者、作家、学者……。あまり公にはしていないプライベートなことを交え、「結婚とは?」を一緒に考えてくれましたから。非常に豊かな内容になっていると思います。
──5年半、足かけ6年という長きにわたり連載を続け、総勢70人にインタビューをしたわけですが、結婚に対する心境の変化はありましたか?
ないですね。
──ない?全然?
連載でも常々言ってましたが、僕は「結婚したい」と思っているわけです。それは、連載を始める前からそうなんです。そこは全然変わってない。でもよく、「そんなこと言って、結婚するつもりなんて全然ないんでしょう?」と言われてしまう。ゲストにも何人に言われたことか(笑)。だから「結婚への道」のインタビューをやることで、「結婚に興味がある人」というより、「結婚するつもりのない人」というパブリックイメージがついてしまったのかもしれない(笑)。
──「結婚したい」といつも言ってるのがアダとなった(笑)。
なのかしら(笑)。「何が何でも」という渇望感がないのが、理由かもしれませんね。本当に結婚したい人はもっと深刻なはずなんです。結婚相談所へ行ったり、婚活パーティに参加したり、インターネットで出会いを求めたり。ひと昔前までは、ネットで知り合うことに抵抗があったけれど、いまやそれもごく普通だったりするでしょ。能動的な人はそうやっていろいろやるわけです。僕には、そういった「真剣さ」が足りない、ということなんでしょうかね。
──では、この連載で学んだことって何だったと思いますか?
やっぱり、「結婚は難しいもの」だということですよね。結婚の機能性についてはわかるんです。たとえば、結婚すれば社会的に認められやすくなる、社会的な信頼度が増す、親が喜ぶ、まわりが安心する、とかね。でも、それって、よく考えればおかしな話じゃないですか。結婚しないと「あの人、なんかあるんじゃないの?」って不思議な目で見たり、「人間的な魅力が欠けてるんじゃないか」と値踏みをしたりというのは。
──最近は、「結婚したくてもできない人」が増えていますから、昔ほど風当たりは強くなくなった、とはいえ、好奇な目で見られる部分はやっぱりあります。
そういった世間の目から逃れるために結婚する人もいますもんね。
──話はちょっとズレますが、有名人が結婚を発表した場合、「……なお、妊娠はしていない。仕事は今後も続ける」というフレーズがくっつくじゃないですか、女性の場合は。あれは本当にひどい。というか、マスコミの人間が無意識にそれを使っていること自体がひどい。それがこの国の「結婚」に対するスタンスなんだなと思うとタメ息がでてしまうんです。
「結婚」にはいろんなカタチがあるのにね。
結婚って甘美なもの
なんじゃないかな。
──「結婚とは何か?」ということに対する岡村さんなりの答えはみつかりましたか?
いや、謎がますます深まりましたね。
──迷宮に突入しましたか(笑)。
ただ思うのは、結婚って甘美なものなんだろうなと。何回も結婚をする人もいるでしょ。結婚して離婚をするたびにカロリーを使うだろうし、傷ついたりもする、経済的なこともある。それでも何回もする、ということは、結婚って甘美なものなんじゃないかなと。
──なるほど。じゃあ、今回、いちばん心に残った言葉は?
それぞれ全部心に残っていることばかりなんですが、内田樹さんの「結婚とは安全保障である」という言葉にはハッとさせられましたね。
──「街で10人に出会えば6人と結婚するくらいの寛容性を持つべし」ともおっしゃってました。「自分に合う相手を探すんじゃなくて、自分が相手のかたちに合わせていくべき」と。
僕は「やさしい人と出会いたい」とこの連載でもよく言っていたんですが、そういう人となかなか出会えないのは自分のせいなんだなと最近思うようになって。人っていろんな面があるじゃないですか。この人といるときはこういう顔、あの人といるときはああいう顔、対峙する人により見せる顔は違ってくる。やさしい人と出会えないのは結局、僕のせいなんだなと。
──でも、岡村さんは、女性に対してとってもやさしい。6年近く連載をやってて、キツい人だなんて一度も思ったことはないですよ?
ありがとうございます(笑)。
──しかし、本に登場する女性たちは、みんなやさしくもあり、強くもある方々でしたね。
女性は男性に比べるとリアリストというのは、全体を通して思いました。巣作りという観点からも、女性がイニシアチブを持つことが多いんじゃないでしょうかね。とにかく、この本に関しては、その人がどんな肩書きかで読むのではなく、1人の女、1人の男の人生の話として読んでもらいたいんです。そこに「結婚とは何か」のヒントが隠れているはずだから。みなさん、インタビューで、それぞれ非常に人間臭い部分が出ているように思うんです。僕は、ふと、そういった部分を垣間見ることができたので。それは本当に面白いことだったんです。
結婚のカタチ、結婚のあり方、
それは本当に人それぞれ。
──岡村さんもおっしゃいましたが、「結婚にはいろんなカタチがある」ということを、私もあらためて思いましたし、この連載で知った人も多いんじゃないかと思うんです。
事実婚を実践している人も多かったですよね。
──中瀬ゆかりさんが、「ときめいていたいから事実婚を選択した」とおっしゃっていたのがすごく印象的でした。
それこそ、内田樹さんの「安全保障」とは真逆で、結婚に安定をもとめない人もいる。「絆婚」というのもありましたよね。
──流行りましたね。そういう意味でいえば、そのときどきの社会情勢とともにあり方が揺れ動くのが「結婚」かもしれませんね。ここ2〜3年は不倫に対して社会がヒステリックに過剰反応するようになったりしてますし。
夫婦にしかわからないことなのに、第三者が魔女狩りみたいにとやかく言う。奇妙な世の中になったなあと思いますね。
──いままで聞こえてなかった声が聞こえるようになった、ということもあるんでしょうね。良きにつけ悪しきにつけ。
とにかく、結婚のカタチ、結婚のあり方、それは本当に人それぞれ。だからこそ、何人に会って話を聞いてもわからないものだなと思ったし、「結婚とは○○である」などと、一般化できないんだなと。A+B=Cという方程式が成り立たないんですよね。
──だから、ひたすら彷徨い続けるしかないと。
彷徨うということで思い出したけど、友だちが教えてくれたんです、アメリカのカリスマ経営者の名言に「定住するな」という言葉があると。「人間は1箇所にいてよどまないほうがいい」、「なるべく引越しをしたほうがいい」、だから「旅をしなさい」と。要は、あらゆる場所へ出かけて知見を広め、いろんな人と出会いなさい、ということなんだけど、僕は、ライブツアーで地方へ行くこともままありますが、そこでその土地のことを深く知る、人と出会うというところまではなかなかいかない。もっとまめに、東京以外の場所へ行くことが必要かもしれませんね。そのためにも、東京以外のいろんな場所に自分の基地を持ちたいなと、いまは思っています。
──いいですね。京都に、仙台に、沖縄に、いろんなところに岡村ちゃんが出没!っていうのは面白いと思います(笑)。
僕が探究し続けたのは、
「幸福」だったと思います。
──そんなわけで。読者がいまいちばん気になっているのは「岡村ちゃんの結婚」は今後どうなるのか?ということなんですが。
どうなんでしょうねえ。
──探究はまだまだ続く、ということですか(笑)。
思うのは、人間にとっての最重要項目は「幸せであること」だなと。幸福が結婚によってもたらされる人もいれば、結婚しても幸福ではない人はいるし、結婚しなくても幸福な人もいる、あるいは、結婚しないほうが幸福な人もいる。
──「結婚」は必ずしも「幸福」とイコールではないですもんね。
だから結局、僕が探し続けたものは、「幸福とは何だろう?」ということだったのかもしれないですね。
──確かに。「幸福への道」だったかも。じゃあ、岡村さんが見つけた「幸せ」はありましたか?
「結婚への道」をやったことですね。このインタビューを5年6年と続けることができたことが大きな幸せになりました。いろんな人と毎月話ができたことが楽しかったし、自分にとっては豊かな経験になりましたし。ゲストの方々も、プライベートなことに踏み込むインタビューなのに気持ち良く出てくれて、忌憚なくしゃべってくれて。ありがたかったですね。
──21世紀のスタッズ・ターケルか!ってくらいにインタビューしまくりましたもんね(笑)。
前代未聞です(笑)。
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岡村靖幸
1965年生まれ。音楽家。数多くのアーティストの作品に作曲家として関わった後、86年、「Out of Blue」でデビュー。青春や恋愛の機微を描いたみずみずしいワン&オンリーな歌詞が唯一無比、圧倒的な支持を得ている。最新のアルバムは『幸福』。
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