文庫を読んでいる女性のキラッとネイル、気になりますよね。ストーリーにぴったりな妄想ネイル6選


* 紙の月 *
真面目で正義感の強い平凡な主婦・梅澤梨花が、勤め先の銀行から約1億円もの金を横領し指名手配された。主人公を突き動かす激しい感情は、血の赤を想起させる! (角田光代/ハルキ文庫 ¥590)
* 天頂より少し下って *
つかめそうで届かない、分かったようで悟れない、恋愛というものの機微を鮮やかに魅せる極上の短編集。恋につきものの闇と、照らされる一筋の光。背筋を伸ばして“大人色”を味わい尽くす愉しみがここに。グリーン&パープルで根元に細く三日月のような一筋を。(川上弘美/小学館文庫 ¥510)
* Nのために *
東京の超高層マンションである夫婦の変死体が発見された。現場に居合わせた男女4人の証言から、事件の真相に迫る純愛ミステリー。被害者と目撃者全員のイニシャルでもある「N」とは、果たして誰を指すのか。青にもメタリックのニュアンスを。白の二本線は“N”がインスピレーション!?(湊 かなえ/双葉文庫 ¥630)
* 異国のおじさんを伴う *
オーストラリアの森の妖精をモチーフにした人気シリーズを手掛ける作家が、彼の地の「ひげ人形愛好会」から招かれたことに端を発する表題作他、日常から少し逸脱した不思議な読後感が堪能できる魅惑の短編集。不思議な世界観へ誘うアンニュイなグレーメタリックは、ボルドーやホワイトとともに。(森 絵都/文春文庫 ¥470)

* 水底フェスタ *
村おこしを目的に開かれたロックフェスの夜、地元出身の芸能人・由貴美と出会い、その魅力にわれた高校生の広海。悲劇の幕開けとなる恋。閉鎖的な村の秘密。タイトルの意味深さが印象的な長編作。夜空を表現した紺青色。一度塗りの後、除光液でラフに剝がした斬新なニュアンス。(辻村深月/文春文庫 ¥600)

* 花酔ひ *
仕事で出会った京都に住む桐谷の強引さに惹かれていく麻子。一方で麻子の夫・誠司は、桐谷の妻・千桜に絡め取られていく。れた関係をもつ2組の夫婦の背徳的な愛と情念に圧倒される官能的な長編作。パープルのディープな色味は背徳的で官能的なストーリーにぴったり。ドロドロした関係性をドローイングに込めたり。(村山由佳/文春文庫 ¥600)
選書: 藤田香織
ふじた・かおり≫ 書評家。得意ジャンルは国内エンタメ。『小説すばる』『FRaU』などで書評エッセイを連載中。今回はネイルカラーに合わせた提案。
Photo: Akiko Isobe Styling: Maiko Nail: Nagisa Kaneko (DISCO) Text&Edit: Aya Sasaki