2年に渡って私服スナップを披露してくれた”編アシKO”こと大平かりんさん(「自由すぎる私服スナップ」記念すべき1回目はこちら)。GINZAを卒業し、現在はフリーランスのエディターとして活躍中だ。東京生まれ、東京育ち、ファッションが大好きな彼女の日々を着こなしとともにお届けします。
大平かりん Dear,Girls!世界はファッションで回ってる Vol.3

物欲センサー発動!この気持ち『SATC』以来かも。
映画『オーシャンズ8』を見てきました。激ヤバな女たちの活躍っぷりに大満足し、帰りは1人「幸楽苑」でラーメン+餃子+ビール。カロリーやらプリン体、グルテンなんて気にしない!自己愛に包まれる最上な時間でした。
映画のなかで特に素敵だったのは、ケイト・ブランシェット演じるルーの神々しい装い。女が惚れる女、とはまさにこれ。シックなスーツ、贅沢なコート、首や手の周りにジャラジャラつけたアクセサリーたち、男らしさと女性らしさを持ち合わせた”Queer Women”を演じたケイトのスタイルには、この秋リアルに欲しいものがいっぱい。ルーのセンスを勝手にファンション考。
1.誇らしげに着れるヒョウ柄コート
ケイト・モス、フランソワーズ・サガン、そしてジャクリーン・ケネディ(レオパードコートを着て1906年に流行させたのは彼女)、映画『卒業』のミセス・ロビンソンまで、洋服に負けない美貌と強い個性がなければ、正直、ヒョウ柄コートは着ちゃダメだと思っていました。でも映画に登場したルーの丈の長いヒョウ柄のテーラードコートスタイルは前述の彼女達とは一味違います。インナーのコーディネートのインパクトが、コートよりも強い。
普通だったらヒョウ柄には「黒」や「赤」で引き締めたくなるところを、ルーはインナーにグリーンやワインレッドのセットアップスーツを選び、カオスティックな印象です。Tシャツとトラウザーが黒でやや控えめなときもあるのですが、首には柄物のスカーフをタイトに締め、長さの違うゴールドネックレスを揺らし、そしてベルトと足元もゴールドという結果的に情報量の多いスタイリング。そこにインパクトのあるヒョウ柄のコートがくると、もう着ている本人の美しさとか個性とかなくても凄まじい存在感が成立していて、強烈でいいなぁと思いました。
でもやっぱり理想のヒョウ柄コートを見つけるのって難しい。しばらく〈マッキントッシュ〉のパイソン柄コートで楽しみます。
2.足元は現代的グラムスタイルで
ルーの中性的でジェンダーレスなスタイルを前にして、やはり両性的な人々の最古老的存在のデイヴィッド・ボウイに、立ち戻らずにはいられません。色合い、肌の露出、スカーフの使い方、ベルト、シューズ選びに至るまで「女性の私がどうやったら、品良くセクシーなボウイみたいなファッションを楽しめるのか!」という長年の問いへの回答が、ルーのスタイルにはあるように感じます。
特にこの秋すぐ参考にできるのはショートブーツだと思いました。”秋冬にあえて明るい色を足元に”という方程式は、多くのGINZA読者のみなさんが昨年から取り入れているかと思います。今年は更にバージョンアップで素材感や柄物もトライしたいです。ルーが履いているような、凝った刺繍が施されたゴールドのブーツ、ピンクラメのブーツ、エナメルな真っ赤なブーツ、どれも素敵。ginzamag.comを見ていてみつけた〈マメ〉の刺繍ブーツも、まさにイメージにぴったりです。
アクネのショートブーツを新調しました。スキニーパンツに合わせるぞ。
3.グリーンのセットアップ
この秋冬、挑戦してみたいカラーは”グリーン”。モノトーンのボトムが増えたので、大人っぽく合わせる色モノを探していたところグリーンが気になっています。
さて『オーシャンズ8』のルーにとってグリーンはどんな色でしょうか。刑務所から帰ってきたサンドラ・ブロック演じるデビーと、下見をしに美術館へ出掛けるときに着ているベルヴェッドのスーツ、そして作戦を終えデビーと合流するときに纏った光沢感あるジャンプスーツ。どちらもルーはグリーンを選びます、つまり”勝負服”なんですね。妖艶でゴージャスでありながらも、個性、理性、上品さを感じるグリーン。長く離れていた相棒のデビーと穏やかに自然体で過ごしたいという隠れた深い愛情の表れを感じるのは私の深読みでしょうか。
ちなみにレオス・カラックスが監督する『TOKYO!/メルド』という映像作品に出てくる主人公の怪人も、鮮やかなグリーンのスーツを着ています。ゴジラのテーマ曲をBGMに東京の平和を壊し大パニックに陥れる怪人が着るグリーンは、街のなかで異物でとても奇妙なのですが、同時に彼の奥底にある恐れとそれに対する調和の欲求を表しているように感じます。
なかなか奥深い色、グリーン。Tシャツ+コーデュロイパンツでリアルに。ZOZOTOWNで見つけたローリング・ストーンズTシャツと、〈タロウホリウチ〉のパンツ。
『オーシャンズ8』をまだ観てない人は、おすすめです。
観るときはぜひ、9人目のオーシャンズ気分で着飾って行きましょう。
私はこんな服で行きました。シャツは古着屋で見つけたボーイスカウトシャツのリメイク、スカート〈ベルンハルトウィルヘルム〉。
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大平かりん
GINZA編集部を経て、現在はファッションや音楽企業のデジタルマーケティングを手がける。「最新」と名のつくものに弱く、コンビニの新作商品、最新映画、ヒットソング、新聞の時事ニュースに目がない。
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