どこにも宣伝していない、口コミだけの客が足を運ぶ都内の隠れ家的占い師、オカンがいるという。人生の酸いも甘いも知り尽くしたアドバイスを求める財界や政界からの依頼者も数多く。今日も、迷える相談者がひとり…オカンのもとへやってきた。
占いのその後…vol.1 恵比寿の改札前で3時間喧嘩した女
相談者
山口 鈴絵さん(広告関係・29才)
二黒土星
悩みをざっくり:恋人と4年交際中。30歳を前に結婚欲もそんなにないけど、若干焦っている。彼氏は2歳下の会社員で女の影も多く、振り回されている。それでも付き合ってきたが、もう断ち切ったほうがいいのか悩み中。
鈴絵さんの証言 「愛してる」って言ったのに
彼と付き合って4年になるんですけど、1週間前に別れを切り出されたんです。その直前にJR恵比寿駅の西口で3時間も仁王立ちで(大人げないと分かりつつも)ド派手にケンカしてしまいました。その場では話は収まったので2人で心機一転やっていこう! となって解散したんです。
ところが数日後一転、突然別れ話をされました。「やっぱり無理だと思う、別れよう。俺なんかより年上の男の方が鈴絵には合っているよ」と。感情的になってしまって「もういい!」と別れを受け入れました。
だけど、数日後に「やっぱり、鈴絵がいい。愛しているから、もう一度やり直そう」って連絡がきました。「愛してる」って言ったんです。私は正直嬉しかったです。でも直後に返事をして後悔したくなかったので「数日欲しい」と彼にお願いしましたが、答えを出す日に彼が「やっぱり無理。他に好きな人ができたかもしれない」と、また振られてしまいました。2週間のうちに2度フラれたんです…嫌がらせとしか思えない。今は、好きなのかも分からないんですけど、ずっと彼のことを考えてしまいます。
オカン:タロットだと、鈴絵さんが仕事を優先しているって出ているけど。
鈴絵:そうですね。仕事が今、すごく忙しいんですけど、忙しい時に振り回されるようなことをされるともっと精神的にキツいんです。自分が逆の立場なら、相手のことを好きで大事にしたいなら、その人が頑張っていることを邪魔したくもされたくもないじゃないですか。だから、もう、彼が何を考えているのか分からなくて。
オカン:彼は九紫火星なのね。物事をはっきりして欲しい星なの。でも、彼から見て、鈴絵さんが自分との結婚を考えているようには見えなかっただろうし、彼は彼で、もどかしかったと思うわ。年下だし、年上の彼女に対してどういう出方をしていいのか分からなかったのかも。鈴絵さんが振り回されたと思っているかもしれないけど、相手も、同じように考えているわよ。
九紫火星の男性の全てがそうだとは言わないけども、横で他に女を作ることができる器用さも持っているの。タロットのカードを見る限り、他に女性がいるんじゃないかしら。
「好きな人ができた」と彼が言っていたその女性かどうかは断言できないけれども、これは占いで答えを出す問題ではなくて、貴方が相手を好きか嫌いかをはっきりしなくてはいけないの。自分から「好きだからやり直したい」って、連絡できる?できてないからここにいるんでしょ?
好きだったら、自分から彼に連絡するだろうし、好きじゃなければ、今、ここで占いは受けてないものね。じゃあ、何に悩んでいるかというと、「振りまわされた」「フラれた」ということにプライドが許してないだけ。本当に好きで、今にも手放すならプライドを捨てて泣いてすがればいいのにしない。それは、彼も同じなの。
彼もプライドが高い人だから、自分から恋愛を終わらせたいのよ。もしかしたら、別れを切り出して、追いかけて来るんじゃないかと期待をしているかもしれないけども、どちらにしても駆け引きするような男がいいの?
鈴絵:正直、わからないです。
オカン:わからないわよね。でも、ごめんなさい。占いでは、貴方の気持ちは決められないないのよ。私から言えるのは、もうその執着心を捨てて、彼を愛していないなら、解放してあげて。駆け引きが楽しいのであれば一生続ければいいけど! カードからは、一旦復縁できたとしても、同じことの繰り返しって出ているけどね。
占いのその後 鈴絵さんの気持ちに変化
結局、自分から彼に連絡を入れる踏ん切りがつかなかった鈴絵さん。その時に歯止めになったのは、自分のプライドもあるけれど、オカンの「結局、同じことの繰り返し」という言葉。そうして、徐々に気持ちが落ち着いて日常を取り戻しつつあった頃、元カレから連絡が。
その時、確かに少しは揺れたものの、ゆっくり考えてみたら納得できないし人間として元カレへの不信感のほうが勝っていたという。自分の言葉に責任も持てないなんて、と。時間が進んで、何か事が起こらなければ「こんな気持ちに気付くこともなかった」と語る。
久しぶりに彼から来た連絡は「鈴絵ちゃん~」と、繰り返しのラインメッセージ。何度も名前だけ呼び、具体的な内容を明かさない態度にも腹が立ってきたし、馬鹿にされている、煩わしいとさえ思ったそうだ。
さらに大きな進展は、元カレと距離を置き始めて、仕事へのモチベーションを取り戻したこと。元カレから「鈴絵は忙しすぎる」と度々言われていたことが「俺と過ごす時間を作れ」というプレッシャーになっていたとを痛感。そもそも好きでやっている仕事を批判されたことで自分の思考まで否定されていたと思った。
「そんなの一種のDVじゃないですか!」と苦笑いする鈴絵。――いや、オカンはそんなの分かっていたはず。ただ、決断をするのは自分だし、悩みのタネに対して思考を変えて、行動に移すのも自分しかできない。オカンの言葉は、ちょっとキツめの愛の鞭だけど、人生の先輩としてそれも分かったうえで、相談者の幸せを後押ししてくれる。
経過を話す鈴絵から、以前からは想像もできないくらい自分の人生に対して前向きな姿が伺えた。駅の改札で3時間もケンカするなんてことは、もうないだろう。
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オカン
2007年に都内の自宅で占いの店をオープンし、これまでの鑑定人数は3000人を超える占い師。タロット、九星気学をもとに、霊感で見える風景や人物をヒントにアドバイスをする。霊感は幼少期からあり、10代の頃から趣味でタロットを始める。本人の希望により、店の詳細と本名は秘密。