独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア「Magazine isn’t dead. 」を主宰する高山かおりさん。世界中で見つけた雑誌やZINEから、毎月お気に入りの1冊を紹介します。前回紹介したZINEは『PLAYBACK LADY ZINE』。
大英図書館に収蔵されている唯一の“ポスター”『Posterzine』Magazine isn’t dead Vol.8
一口に“雑誌”と言っても様々な形態があり、つくり手による自由な解釈が楽しめるところが雑誌の魅力の一つだと思う。
今回紹介するイギリス・ロンドン発の『Posterzine』は、雑誌と謳いながらその形態はA1サイズのポスターだ。どのような経緯で生まれたのかを、つくり手に聞いてみた。
本誌を制作するのは、2013年に設立された印刷にまつわる依頼を請け負うクリエイティブチーム、PEOPLE OF PRINTだ。アートディレクターやグラフィックデザイナー、イラストレーター、プロジェクトマネージャーなどが所属する彼らの元には、日々クライアントからの依頼が絶えず、多数のプロジェクトが常に進行しているという。
私が彼らを知ったきっかけは、2014年に創刊し現在休刊中の雑誌、『Print Isn’t Dead.』だった。当時雑誌担当として勤務していた書店で仕入れ、その強いメッセージ性のあるタイトルに一気に引き込まれたのだ。余談だが、「Magazine isn’t dead.」は彼らへのオマージュから命名した。
『Print Isn’t Dead.』は2015年に発行された第4号目以降出版されていない。しかし、彼らは新しい雑誌をつくり出した。それが、『Posterzine』だ。年12回の発行ペースで出版し続け、なんと現在49号目まで続いている。
『Print Isn’t Dead.』の第3号目を制作中にこのアイデアを思いついたという彼らは、「第3号目でも取り上げられているデザイナーのEike Konigのコンテンツがページ内に収まらず、でもどうにかして全てを紹介したかった」という思いから、A1ポスターサイズで付録のように特別コンテンツとして制作した。これが『Posterzine』の始まりだった。その後も彼らの視点で選ばれる個性豊かなアーティストやイラストレーター、グラフィックデザイナー、時には出版社などもフィーチャーされ、現在に至る。A1ポスターサイズで、基本的には2色刷り(3色以上使用する特別号もある)というフォーマットは変わらないが、人選が毎号違うことで内容はもちろんのこと、誌面デザインも大きく変わり、カラフルでキャッチーな見た目はコレクター心をくすぐるだろう。実際、イギリスを中心に世界中にファンがいるようだ。
ちなみに、『Posterzine』の裏面を見るとISSNという世界共通の図書コードがついていることがわかる。彼ら曰く、「“雑誌”として大英図書館に収蔵されている唯一のポスター」。つまり、ポスターは図書館には納められないが、図書コードが付くことにより発行国で保存する義務が生まれる。また、4ページ以上あるものも大英図書館では出版物として納める義務が生まれるそうだ。そのため3回折りたたむ仕様にしている。まさに、紙は死なない(Print isn’t dead.)ということを彼らは『Posterzine』で示しているのである。そんな彼らの活動の素晴らしさに触れ、まだまだ知られていない日本で「Magazine isn’t dead.」を通してたくさんの方に届けることができたらうれしいなと思う。
『Posterzine』はこちらで販売しています。
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高山かおり
独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア、Magazine isn’t dead. 主宰。ライター、編集者としても活動している。生まれも育ちも北海道。セレクトショップ「aquagirl」で5年間販売員として勤務後都内書店へ転職し、6年間雑誌担当を務め独立。4歳からの雑誌好きで、国内外の雑誌やZINEなどのあらゆる紙ものをディグるのがライフワーク。「2019年10月11日(金)〜10月20日(日)まで神宮前のギャラリーを併設した花屋VOICEにて、“Exhibition of Magazine isn’t dead.”を開催することになりました。期間中は“ZINEPARTY.”や国内外のゲストを招いたイベントも。ぜひお気軽に遊びにきてください!詳細はこちら」