12月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする映画をご紹介。
G’s FILM REVIEW 美術史から消されてきた女性画家を女性の視点で描く『燃ゆる女の肖像』etc.

ロイ・アンダーソンが、時代、年齢、性別も異なる人類の悲喜こもごもを全33シーン、ワンシーンワンカットで撮影し、第76回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞した本作。信じ、戦い、信仰を失い、愛に出合い、愛を失い、命もやがて消える。それをただ繰り返す人間は、愚かな生き物かもしれない。でも、人間は脆いからこそ、お互いに優しくなれるし、私たちのエネルギーは永遠に存在し続ける。そうロイ・アンダーソンはユーモラスに語る。
11月20日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開中。©Studio 24
『燃ゆる女の肖像』
決して消えることない愛の記憶と、対等に協力し合う女性たち、そして美術史から消されてきた女性画家を女性の視点で描く物語だ。監督セリーヌ・シアマのデビュー作『水の中のつぼみ』で演技の道に戻り、私生活ではパートナーでもあったアデル・エネルが、望まぬ結婚を控える貴族の娘エロイーズを、彼女の肖像画を描く女性画家マリアンヌをノエミ・メルランが演じ、2人が育む愛に圧倒された。エンドロールが終わっても立ち上がれないほどに。
TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか公開中。©Lilies Films.
『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』主演のチュティモン・ジョンジャルーンスックジンが女優としての才能をさらに開花させているのが、新鋭ナワポン・タムロンラタナリットの最新作。留学先でミニマルなライフスタイルを学んだデザイナーが物にあふれた実家を改装し、“こんまり”よりもクールに断捨離を決行しようとするが、捨てられない思い出が発掘されて戸惑う。ゴミ袋で隠せても、思いをきちんと解き放たないと、前には進めないのだ。
シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開中。©2019 GDH 559 Co., Ltd.
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Recommender: 小川知子
ライター、編集者。韓国ドラマから音楽にハマってしまい、今はsogummに夢中です。