当事者による移民の物語
現在の映画界の流行と切り離せないのが、移民のストーリーだという。
「パンデミックで、一時停止したタイミングで自分の家族や人生について考えた人は多かったはず。アメリカは移民国家ですし、これからどうやって生きていくかを想像したときに、自分のルーツを描きたいと考える転機になったのではないでしょうか。今注目を集めているのは、A24とCJ ENMが製作し、サンダンス国際映画祭やベルリン国際映画祭で上映された、韓国系カナダ人セリーヌ・ソン監督による『Past Lives(原題)』。そして、“ダニエルズ”監督作『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』はアメリカに移住した家族を描き、予想外に大ヒットしています。ミシェル・ヨーが主演で、『グーニーズ』の子役だったキー・ホイ・クァンにとっては、20年ぶりとなる復帰作。映画ファンじゃなければ知らないようなキャストしか出ていない、こんなニッチな物語がアカデミー賞にノミネートされるとは誰も予期してなかったと思います」(LA在住のライター 平井伊都子さん)