父である12代将軍・家慶(高嶋政伸)からの虐待に苦しむ家定(愛希れいか)。家定を救うために老中阿部正弘(瀧内公美)は奔走し、奥の取締役として瀧山(古川雄大)に白羽の矢を立てる。『大奥』16話(幕末編1話)をドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。15話レビューはコチラ。
娘を虐待する家慶(高嶋政伸)のおぞましい演技!幕末編スタート
父である12代将軍・家慶(高嶋政伸)からの虐待に苦しむ家定(愛希れいか)。家定を救うために老中阿部正弘(瀧内公美)は奔走し、奥の取締役として瀧山(古川雄大)に白羽の矢を立てる。『大奥』16話(幕末編1話)をドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。15話レビューはコチラ。
11代将軍・家斉(中村蒼)が赤面疱瘡を駆逐したことにより、男女逆転大奥の「男女逆転」の部分が一度まっさらになった。12代将軍・家慶(高嶋政伸)の時代には男性が家督を継ぐことが当たり前に。そんな中で、実におぞましいことが行われていた。家慶は実の娘である家定(愛希れいか)に性的虐待を繰り返していたのだ。家定を嫁に行かせずずっとそばに置くため、将軍職を継がせようとする。
虚弱、というよりは弱腰の兄に代わり、この時代では珍しく女性ながら家督を継ぎ、老中となった阿部正弘(瀧内公美)。はるか昔、阿部家が将軍の身代わりを務めた逸話を家定が知っていてくれたことにいたく感激し、「身代わりになる覚悟」と伝える。
家慶との「嫌なこと」から逃れるため、家定は正弘を何かと呼びつける。そんな中で正弘は「それ(身代わりになること)はなかなか大変だと思うが」という家定の言葉の意味を理解することに。
正弘は前将軍である家斉の正室=広大院(蓮佛美沙子)に家慶を諭してもらう。しかし家慶は懲りない。そこに都合よく家慶が原因の火事が起こり、広大院は家定のいる西の丸に身を寄せる状況に。かつて夫を騙してまで子どもの仇を討った広大院が、家定のために再び一肌脱いだことが想像させられる展開だった。
このタイミングで、正弘は家定のために奥をつくる。子を産ませるためというのは建前で、実際は家定を「嫌なこと」から守るためのもの。正弘は身代わりにはならなかったが、彼女なりのやり方で家定を救った。
家定はまだ年端も行かない頃から、実の父親からの性的虐待をずっと受け続けてきた。父は将軍であり、誰も止めることができない。そのこと自体はものすごく残酷で、高嶋政伸の演技がよりおぞましさを感じさせる。しかし一方でお菓子づくりなどのコミカルなシーンと瀧内公美が演じる正弘のどこかとぼけたようなやわらかな雰囲気によって、重くなりすぎず、家定がそこから救われる気持ちよさを味わうことができた。
Edit: Yukiko Arai