俳優を輝かせ物語を彩る衣装は映画の見どころ。日頃からコーディネートを提案する16名が認めるコスチュームが魅力的な一本を教えてもらった。連載 #ファッションで選ぶマイベスト映画 より。
🎨CULTURE
スタイリスト伊藤信子が選ぶ、衣装が魅力的な映画『マルコヴィッチの穴』
ファッションで選ぶマイベスト映画vol.12
『マルコヴィッチの穴』
(1999)
ロッテの無邪気を反映した
装いをコピーしたくなる
スパイク・ジョーンズと脚本家のチャーリー・カウフマンの鬼才コンビが初めて組んだ、奇想天外な名作。お手本であふれていたという。
「まずは主役のクレイグの仕事着です。グレーやカーキのジャケットに、幾何学模様のネクタイとジーンズを合わせています。彼が片想いをする同僚のマキシン(キャサリン・キーナー)のシースルーのカットソーなどのルーズなオフィスルックが印象的でした。そして、妻のロッテ(キャメロン・ディアス)はスポーツミックスが巧み。“穴”へ初めて入る時のナイロンのブルゾン×タートルネックはリアルにマネをしたくなった!」
作品の画力にも衝撃を受けた。
「“穴”の中が老若男女のマルコビッチだらけになる場面は、迫力満点で面白かったですね」
🗣️
伊藤信子
いとう・のぶこ>> 美術やメイクがゴージャスなハリウッド映画を観る度にワクワクする。クエンティン・タランティーノが紡ぐ世界にも夢中。
Text&Edit_Mako Matsuoka