こだわりや個性、ファッションの傾向がわかるのがワードローブ。丁寧にメンテナンスされてファッションアイテムが待機している。そんな服への愛情たっぷりな人たちの、クローゼットを取材しました!
アートディレクター・土家啓延のクローゼット
審美眼を持って引き寄せてアート感覚で服を収集
土家啓延
アートディレクター
築60年以上経つヴィンテージマンション。ドアを開けるとヘリンボーンのウッドフロアが広がり、その奥には〈バレンシアガ〉とNASAのコラボレーションウェアが芸術作品のごとく飾られている。
「服を買う目的は、着るためだけとは限らない。あまりに惹かれたら、着用と保存用で同じアイテムを2着購入することも少なくありません」
住居はコンパクトなメゾネットタイプ。2階のベッドルームの壁の向こう側にも、モード愛にあふれた土家さんのコレクションがさらに潜んでいる。
「片側の壁全面をクローゼットとしてリノベーションしました。ベッドの背面側にもドアを取り付けて、2畳ほどの納戸を作成。構築的なジャケット類はここに保管しています。あまりに分厚くて、クローゼットに入れると、その一着で通常の5着分ぐらいのスペースを占めてしまうから(笑)」
ダイニングに希少なアウターがディスプレイされていたように、納戸にはコレクションピースの隙間を縫って写真集やフィギュア、グラフィックなどが混在し、それぞれの趣味の境界線が曖昧だ。
「幼い頃からとにかくずっと服が好き。若い頃に観た映画や本を大人になって振り返ると違った感動を覚えるのと似ていて、ファッションも高揚感が何度もループする。だからクローゼットに収まる限りは、この先も洋服を追い続けると思います」
Photo_Yuri Manabe Text_GINZA