こだわりや個性、ファッションの傾向がわかるのがワードローブ。丁寧にメンテナンスされてファッションアイテムが待機している。そんな服への愛情たっぷりな人たちの、クローゼットを取材しました!
インテリアスタイリスト・守 真史のクローゼット
色や素材の取り合わせを試して創る実験室
守 真史
インテリアスタイリスト
夫婦で建築関係の仕事をする守さんは、10年ほど前のリフォーム時、寝室脇に細長い衣装部屋を作った。左右にハンガーラックを設け、上段は天井まで収納スペースを確保する。棚の色には、床の黒とグラデーションをなすような深いグレーを選んだ。けれど、どんなに練って設計しても使ってみないとわからない、と話す。
「細かいものを入れる場所を増やすため、右奥ラックを引き出し収納に変更するなど、小さなアレンジは重ねました。今、二人分の服と鞄がここに収まっています。最近はよほど愛着のあるものでないと置かないようにしているので、入れ代わりも少なく、ものがあふれることもありません」
しかし意外にも、毎朝のコーディネート決めには時間がかかるそうだ。
「この2色を並べたらどうなるだろう、この柄をこう着たらどう見えるだろうと、いろいろ試したくなるんです。それで着替え直したりしているので、家族にも『まだ?』と突っ込まれます(笑)」
守さんにとって、洋服を着るという行為は小さな実験だ。そしてそれはインテリアと根底でつながっている。実際、お気に入りの一着と聞いて見せてくれたのは、ソファなどの生地見本から自作したパッチを縫い付けた古着だった。組み合わせの妙を探る研究が、小さな空間で進行中だ。
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守 真史
もり・まさふみ>> CIRCOWORKS主宰。建築設計を学んだ後、イタリアの家具メーカーに入社。独立後はインテリアのスタイリングを主に手がける傍ら、実験的なバッグ制作も行っている。
Photo_Yuri Manabe Text_Motoko Kuroki