メンズ服の本質は、時代を超えて愛され続ける、定番の探究にあると言える。ここではオーセンティックな2アイテムを議題とし、歴史と背景を知った上で私たちがうまく取り入れるヒントを、識者にレクチャーしてもらった。
二村毅さんが選ぶメンズシャツ&ジュエリー
普遍的メンズアイテムの神髄 02
カジュアルシャツ
背景を知ることが目利きへの道
トレンドを超える本物を身につけたい
デイリーに着る機会が多い定番シャツ。ここでは、アメリカントラッドの王道ボタンダウンシャツと、ブロード生地のストライプシャツをピックアップする。
ボタンダウンシャツが生まれたのは、〈ブルックスブラザーズ〉の創業者ヘンリーの孫であるジョン・E・ブルックスが、英国でポロ観戦中に選手のユニフォームの襟先についたボタンを発見したことから。風で襟がはためかないよう、留められていたそのアイデアを、帰国後の1896年にシャツとして販売。たちまちベストセラーとなった。現在、さまざまなブランドから発表されているこのシャツを、同ブランドでは誕生エピソードに敬意を払い、〝ポロカラーシャツ〟と呼んでいる。
「〈ブルックス〉のシャツに使用しているオックスフォード生地は、アメリカのダンリバー社製だったんです。1882年創業の老舗メーカーでしたが、2006年に事実上の倒産。同社の生地は肉厚かつ少し生成で、それがオールドスクールの魅力だったんですよね。コシが強く、壊れにくかったので、その点が学生たちやプレッピーの時代に評価された。現在は、米国製のスーピマコットンを採用し、豊かな風合いを表現。フィットは、身頃と袖ぐりがゆったりするトラディショナルから、着丈が長く胸囲と腕まわりがゆったりとしたマディソン、胸囲とウエストを絞り、腕まわりも細くしたモダンなリージェント、もっともスリムなミラノがあります。アップデートを重ね、同ブランドのメンズは今、ミラノとリージェントの2種類を展開しています。」
オックスフォード入門編
オーセンティックな色とデザインを
「僕は女性にもっとシャツを着てほしいと思っていて。オックスフォードの見本として、1977年初版の『チープ・シック』(草思社)に登場するローレン・ハットンを挙げたい。〈ブルックス〉のボーイズサイズを着て、パステルカラーのシェットランドセーターを肩から巻いています。ボーイッシュと学生らしさというふたつのキーワードをうまくミックスしているんですよね」
女性がトライしやすいブランドは他にあるのだろうか。
「『ビームスF』で取り扱いのある〈FAR EAST MANUFACTURING〉がおすすめです。〈ブルックス〉のヴィンテージシャツにリスペクトがあるから、ボタンがひとつ少なく、カフのギャザーも5本入れるなど、昔ながらのこだわりが感じられます。4サイズの袖丈を展開しているので、女性にも合う長さを選ぶことが可能。ボタンダウンシャツは白か水色、キャンディストライプが定番なので、まずはそこから始めるのがいいかもしれません」
Illustraion_Hitoshi Kuroki Text_Mika Koyanagi