鉢植えのミントがぐんぐん育っている。ペパーミント、スペアミント、アップルミントの三種類。どれも春先に買ってきて、土を足してひと回り大きな鉢に植え替えたら風通しがよくなり、びっくりするくらい育ちが早い。
さあ、お楽しみはこれからだ。
ミントを育てる楽しみは、たくさんある。育つ様子を眺めながら毎日にんまりする、育ち具合と摘むタイミングを図る、料理に生かす。いちいち外でミントを買えばそれなりの値段がするのに、自分で育てれば一切費用もかからず、惜しげがない。しかも、摘む瞬間、鼻腔に抜けてスッと漂うクールな香りがクセになる。摘みかたにも、ちょっとしたコツがあるんですよ。脇芽が出るすぐ上の茎を切ると、次の葉が生えてきて自然に増える。雑草のような力強さがミントの魅力だ。
さて、ミントの使い方です。やっぱりミントティーは外せないけれど、生い茂ってきたら、私は狙い定めて牛肉のソテーにたっぷり使う。牛肉とミントがベストマッチだと知ったのはベトナムを旅したとき。フォーの上にどっさりのせたり、肉炒めや鍋料理に入れたり、生春巻きにも。ミントはこんなに自由なんだと教わり、新しい扉が開いてうれしかった。
ベトナム料理のミント使いに敬意を込めて、ナムプラー風味のひと皿を。
【材料】
牛肉(ステーキ用)200g
A(ナムプラー・酒各小さじ2 砂糖小さじ1/2 おろしにんにく1片分 粉唐辛子小さじ1/6)
ミント、イタリアンパセリ(いずれも茎ごと軽くひとつかみ分、たっぷり)
粗みじんに刻んだピーナッツ大さじ1強
サラダ油少々
【つくり方】
①ステーキ肉を幅5ミリに切る。
②ボウルに牛肉とAを入れて混ぜ、下味をつける。
③ミントとイタリアンパセリをざっくり刻む。
④フライパンを熱してサラダ油を加え、❷の牛肉をこんがり焼く。
⑤皿に盛る直前にミントとイタリアンパセリを混ぜ、ピーナッツを振る。
ポイントその1。ぜひステーキ肉を自分で切ってほしい。ミントやイタリアンパセリのフレッシュな勢いを受けとめて生かすのは、厚めの牛肉。
ポイントその2。ハーブを加えるタイミングは、牛肉に火が通ってフライパンから取り出す直前。私は、フライパンの熱が伝わるのも避けたくて、皿に盛ったあとで合わせたりもする。ミントの香りが飛んでしまわないよう、余熱がふんわり伝わるくらいがちょうどいい。
ポイント3。わざわざピーナッツ?と思うかもしれないけれど、あるとないとでは大違い。ふだんの肉や野菜のソテーにもピーナッツの風味はすてきな役者ぶりを発揮するのだが、じつはこれもベトナムで覚えた。
ざくざく噛むと、口のなかで爽快な香りが弾けてすっきり。ミントのたくましさを味方につけよう。ミントの初夏がやってくる。