今年80歳になる母が「大賀ハスを見に行かない?」と言い出し、お伴したのです。ところが、少し早過ぎて、まだ蕾でした。でも、これはこれで美しいと思ったのです。
白く硬く潔癖に閉ざされた蕾は、正しく時を待っていました。見知らぬ若者が蓮の葉の上に溜まった水を優しく揺らしていて、コロコロと転がる様、そして、揺れる度に光が乱反射する美しさに見惚れました。
開花前の静謐で清廉な世界が、そこに広がっていたのです。
大賀ハスは、今年で開花70周年なんですって。子供の頃は「縄文時代の蓮の実が発掘され、二千年の眠りから覚めて咲いた」と教わった気がしますが、昨今はこの言い方は正確ではなく、「弥生時代よりも前」みたいな表記になるようですね。
そろそろ見頃を迎えたはずですが、今年はあの蕾の美しさで十分な気がしています。
ツンと尖った感じ、少しだけほころび、花弁をのぞかせる奥ゆかしさ、シーズン直前の鑑賞も機会があればぜひ!