「頑張って終わらせて、最後にアレを飲もう」。
そう心に誓わせてくれたのが、百貨店の催事に出ていたカクテルでした。美しい赤に惹かれて席を予約しました。後からカンパリを使ったレシピだと気づき、ちょっと躊躇しまして。お酒は全般的に好きなのですが、例外的に苦手な味なのです。
ただ、だからこそ、いいのかもと思い直し、オーダーしてみました。2種類あって両方頼み、お任せで出てきた1杯目が印象深く残りました。苦いのです。
バーテンダーさんにうかがうと、カンパリとエスプレッソの苦みなのだそうです。これが絶妙に舌に残り、心に残り、またいつか飲みたい一杯となりました。
苦み、ビターな味わいが、頑張って終わらせた気分にピタリと重なります。数ヵ月保留になっていたことが最終的に着地して、数年続いたご縁が終わったのです。
これを書きながらも、心がどこか呆けているような、ホッとしているような、変な感じ。もっと苦みを! な気分です。