気候変動、ジェンダー、BLM、コロナ禍とさまざまな問題に直面している今、ヒーローや人気者のあり方も変わってきているようだ。ヒーロー研究家・福田フクスケさんに、これからの時代に求められる人物像を妄想してもらった。
💭INTERVIEW
福田フクスケさんが妄想する現代のカリスマ|時代に愛されるこれからのヒーロー像とは? vol.7

妄想ヒーロー
ヒーロー塾に通ったことがあるというフクスケさんにお話を訊きました。
“ほめ殺しラッパー”
ディスらない、傷つけないスタイルでお笑い芸人ぺこぱがブレイクしたように、互いを褒め合うラップバトルって、寛容さが求められる時代にぴったり?「お前ってなんてオトコマエ!」「そんなお前こそイチニンマエ!」といった掛け合いでしょうか。不良っぽいヴィジュアルだけれど意外と高学歴で、生まれも育ちも三軒茶屋、みたいな人たちがオフビートで生み出す新感覚ラップ。ポジティブな言葉を次々とかぶせ認め合うラップは流行るかも。
“バ美肉人形YouTuber”
ミュージシャンのMVやPVはアニメが大流行。もはや生身の本人が顔出しする意味が失せつつある今、人形やかぶり物だっていいわけです。そう考えるとYouTuberも日本古来の人形浄瑠璃みたいなのが逆にウケるかも。バーチャルな美少女の中身は、かりそめの肉体を授かった黒子のおじさん、通称「バ美肉おじさん」だったりするわけで。それに人形という仮面をかぶれば、過激な主張もマイルドになり、まぁまぁ大目にみてもらえそうです。
“複眼流デュオ”
昭和のデュエットソングが復権します。そして、どちらかの言い分を一方的に歌い上げるのではなく、男女のすれ違いを歌い合う形が時代に合いそう。Aメロで男の言い分、Bメロで女の言い分を掛け合うような感じでしょうか。ものごとをひとつの視点だけで判断せず、複眼流で見ようよというメッセージ。マキタスポーツが以前、尾崎豊の「15の夜」を、バイクを盗まれた側の歌に作り替えましたが、それをひとつの曲でやってしまうのです。
Illustration: Reiko Matsuo Text&Edit: Mari Matsubara