2021-22年秋冬のトレンドとなった“バラクラバ風”ニットフード。ドイツ・ベルリン発の〈MILA Èt MILA〉は、「ボンネット」と呼ぶキュートなニットキャップがインスタグラムで人気に。DM経由でカスタムオーダーも受け付けており、日々届くオーダーの依頼には王室のプリンスも!? ブランドを手がけるミラにインタビューを打診したところすぐに「OK!」と返事が。ということで早速Zoom!
ベルリン発〈MILA Èt MILA〉に聞く、バラクラバ風ニットフードができるまで

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── こんにちは! ボンネットを作り始めたのはいつから?
2021年の夏からです。元々はワイヤーを編み込んだアクセサリーを販売していたんですが、ロックダウンの影響で実店舗での販売が難しくなって……。それに経済が苦しい時、アクセサリーってあんまり売れない。「こういう苦しい状況でもみんなが欲しくなって、気分の上がるものって何だろう?」と考えた結果、ワイヤーを毛糸に変えて、ボンネットを編んでインスタに載せてみたら反響がすごかった! 自分でも驚きました。
── 販売し始めてまだ1年も経っていないんですね。
そうなんです。ギリシャのアキレアス=アンドレアス王子も「ガールフレンドと妹へのプレゼントに」って買ってくれたんですよ。本人からDMが来てびっくりしました(笑)。意図していたわけではないけど、クールなお客さんが購入してSNSに載せて広がっていったりして、すごくラッキーだと思う。
── 今年の冬はバラクラバが世界的なトレンドになりましたからね。
それは大きかったと思う。私が作っているのは「ボンネット」と呼ばれる、バラクラバとは少し違うものなんですけどね。バラクラバは、目以外顔全体が覆われているデザインだから。
── そもそも「ボンネット」って何なんでしょう?
ヨーロッパに昔からある、顎下でリボンを結ぶ帽子のこと。〈MILA Èt MILA〉のボンネットは、顎下をボタンで留めるのが特徴です。でも、即興で作っているから編み方のパターンもないんですよ。
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── 即興で作っているんですか。すごいですね!
全部そうなんです。だから人に作り方を聞かれても教えられなくて(笑)。でもボタンの作り方なら動画でシェアできる! こんな感じです。
── 1ヶ月で何個くらい作っているんでしょうか?
大体100個くらいかな。編み物は5歳の頃から続けているので、編むのがめちゃくちゃ早いんです!2〜3時間くらいあれば、ボンネット1個完成しちゃうくらい。
── 今月には公式サイトをオープン。ボンネットの価格は大体80〜120ユーロくらいになっていますが、カスタムオーダーするともう少し高くなるんでしょうか?
複雑なカスタムじゃなければ、基本的には10ユーロ上乗せです。もし「マフラーをつけたい」とか材料が増えるようなカスタムであれば、プラス20ユーロくらい。
お客さんは、カスタムオーダーをする人がほとんど。カラーもシェイプも何でも希望を受け付けていて、アニメや昔の雑誌の写真と一緒に「こういうムードのボンネットが欲しい!」っていうリクエストも多いです。将来的にはカスタムオーダー制のブランドにして、同じものは2度と作らないスタンスでやっていけたらなっていう気持ちもあります。
── 色使いなどデザインのインスピレーションはどこから?
友人のフィルムフォトグラファー Miriam Marleneの影響が大きいかも。ちょっと変でミステリアスなムードがあって、すごくセンスが良いんです。あとは、アニメに影響を受けることもありますよ。ボンネットを編み始めた時は、日本のアニメ『グレートプリテンダー(GREAT PRETENDER)』を見ていて、大胆な色使いにインスパイアされました。
── DIY好きのGINZA読者に何かアドバイスはありますか?
教科書通りに一回やってみたら、次は実験してみること。例えば、教科書通りに左から右へと一列編んでいったら、次は反対方向に編んでみる。騙されたと思ってやってみて! 実験していくうちに、自分なりのテクニックが見つかっていくはずだから。そうしたらどんどん自由にクリエイティブが発揮できるはず。あとは、「お金儲けしよう」と考えず、とにかく自由に始めるのも大切だと思う。
── “教科書通り”を反対にやってみるとは斬新! 早速トライしてみたくなってきました。
本当はパターンをシェアしたり編み方をレクチャーしたいところなんだけど、即興だからできなくて(笑)。編み方の基礎は、YouTubeで勉強するのが一番早いと思う。まず一列編んでみる。そうしたら、プルオーバーでも〈MILA Èt MILA〉のボンネットでも、作ってみたいアイテムを目の前に置いて、そのアイテムのシェイプに沿ってどんどん編み続けて!それくらい単純な話なんですよ。
編み物って、少し目が多かったり少なかったりしても大きな問題にならないところがいい。ルールを作りすぎず、自由に自分だけのものを作ってみて!
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MILA
ロシア出身。5歳の頃から趣味で編み物をスタート。大学で応用数学を学んだ後、ドイツ・ベルリンに移住。ワイヤーを編み込んだアクセサリーを製作・販売していたが、新型コロナウイルスによるロックダウンを機にカラフルなボンネットをオンラインで販売し人気に。2022年2月、ウェブサイトをオープン。
Instagram: @milaetmila