8月30日にリリースしたばかりのmiletさんのサードアルバム『5am』。収録曲の半数以上がドラマや映画、アニメ等のタイアップソング。とても華やかな作品であると同時に、夏のクリスマスソング『Noël In July』や本人曰く「タイトル通り“地獄のクラブ”を描きたかった」というダークな世界観が描かれた『HELL CLUB』といったミステリアスな楽曲も収められている。英語と日本語だけでなく、時にイタリア語やラテン語も使った歌詞はより多彩に。歌の繊細な表情も含め、音の響きの中毒性が増したニューアルバムの内容に加え、ファッションやプライベートまで、さまざまなことを聞きました。
miletの心の内側を映し出す新アルバム『5am』
「自分にとって一番特別な時間、何かが始まる期待を込めて」

──今日は〈ETRO〉のクロップド丈のトップとミニスカートにロングブーツというスタイリングがとても素敵ですね。
冷え性ということもあり、短い丈はあまり着ないんですが、今回は下にシースルーを重ねていたので安心でした(笑)。ミニスカートにロングブーツを合わせることも珍しいので背筋が伸びましたね。色合いもとてもかわいくて、黄色と青の組み合わせはヨーロッパ感がありますよね。〈ETRO〉は好きなので着用できて嬉しいです。
──アルバムタイトルの『5am』にはどんな思いが込められていますか?
24時間の中で午前5時っていうときが私にとって一番特別な時間です。音楽活動の1日が始まる時間でもありますし、みんなに出会うきっかけになる時間でもある。でも過去にはちゃんと寝ることができなかった時期もあって、多くの人が目覚める5時という時間を嫌いだったりもしました。音楽活動を始めて会いたい人が生まれたことで、午前5時をとても好きになることができた一方で、昔のように孤独を感じることもある。パーソナルな時間でもあるし、共通認識として何かが始まる時間でもあるといったさまざまな意味合いを込めてアルバムタイトルにしました。
──セカンドアルバム『visions』(2022年2月リリース)の際には、「コロナ禍だからこそ、希望にあふれた曲が多い」と話されていました。『5am』の制作はコロナが落ち着いた時期だったと思いますが、『visions』と比べてどんな心境の変化を感じましたか?
『visions』はコロナ禍でなかなか暗がりから出られない時に、みんなが光を見せてくれたことで生まれたアルバムでした。私も希望を見せたくて感謝の思いを込めて制作し、繋がりを実感することができました。その後、2022年秋のツアーや、2023年5月の武道館ワンマンライヴを経たり、海外でのフェス・イベントに出演することができたことは自信になりました。今なら私の心の内側の部分をもっと見せられるし、受け取ってもらえると思ったので、対みんなというよりも、自分が自分の中を見るために作ったアルバムという気もします。
──『Noël In July』は夏ソングでありながら、クリスマスソングで面白かったです。
私はクリスマスがすごく好きで、掴みたいのに掴めなくて憧れが高まっていくような感覚で夏からクリスマスソングを聴き始めて、冬の当日にはもう聴き飽きています(笑)。ここ数年はありがたいことに年末の番組で歌わせていただく機会も多く、クリスマスを味わうことが減っているので、なおさら今の夏の時期がクリスマス気分真っ只中なんです。ファンの方が「クリスマスソングを作って」と言ってくださることもあるんですが、普通では面白くないと思ったので、私が一番クリスマスを感じている夏のクリスマスソングを作りました。ストーリー仕立ての映像的な曲になったと思っています。
──『Hey Song』もカラフルで土着的なサウンドデザインが印象に残ります。
ドック(Ryosuke“Dr.R”Sakai)の友達でアメリカ出身のMax Hershenowというプロデューサーがいて、Maxが来日した時にドックと3人で作った曲です。ずっと前からコロナに伴う制限が解けたらみんなで声を出し合える曲を作りたいと思っていて。コロナが落ち着いてきたのでそういうアプローチをしてみました。この曲に入っているコーラスは私のファンクラブライヴの際に収録したファンのみなさんの声なんです。簡単にできるコーラスということもあってみんなすぐに歌えるようになっていました。タイトルがなかなか決まらなかったんですが、「Hey」と言っているのでそのまま『Hey Song』にしました(笑)。

Photo: Wataru Kitao Styling: Akiyoshi Morita Text: Kaori Komatsu