No.328 / 2024年9月12日発売

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LIFESTYLE

FASHION

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BEAUTY

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『虎に翼』イメージイラスト（3/4）／まつもとりえこ

CULTURE

No.327 / 2024年8月9日発売

海と山に囲まれた理想郷

自己責任を押しつける社会に疑問を投げかける。「混沌として怠惰でいることは別におかしくない」

INTERVIEW

ジョニー楓「愛となぐさめの星占い」

都心のワンルームから郊外の素敵な一軒家まで、センスのよい人の自宅をSNAP！おしゃれだけど実用的。センスのよい人たちが暮らしている部屋の「リアル」が盛りだくさん。インテリアの参考に。2018年12月から続くginzamagの人気連載。

私と部屋

毎日22時に更新。タロット使いのJON（犬）が、あなたのために毎日リーディング。その日の「対策」を星座別にお伝えします。

JON（犬）の毎日占い「 今日を過ごすヒント」

占い師章月綾乃さんによる、12星座別月間占い。星の声に耳を澄ませれば、過ごし方のヒントが見えてくる！ あなたの現在地点と今月の運勢は？

章月綾乃「開運レター占い」

おしゃれな人の持ち歩きコスメや、ポーチの中身を紹介。美の3か条、お気に入りの美容アイテムも伺い、美しさの秘密に迫ります。2018年4月から続く、ginzamagの人気連載。

きれいな人のポーチの中身

動くイラスト「メタ・イラストレーション」で注目を集めるクリエイター小川雄太郎さんが手掛ける連載漫画『トップスドッグズ』。洋服を模した犬のキャラクター“ロン”のゆる〜い日常をお届け。

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GINZA6月号

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GINZA10月号

No.318 / 2023年11月10日発売

アオイヤマダ、“松尾スズキ”と踊る

松尾スズキ

まつお・すずき&gt;&gt; 1988年に大人計画を旗揚げし、主宰として作・演出・出演を務める。その一方で小説や脚本、映画監督、俳優としても高い評価を獲得。2020年よりBunkamuraシアターコクーン芸術監督を務める。23年、京都芸術大学舞台芸術研究センター教授に就任。

アオイヤマダ

&gt;&gt; 表現者。90年代のアートシーンやアンダーグラウンドカルチャーに影響を受け活動の軸を定める。東京2020オリンピック閉会式ソロパフォーマンス、俳優としてドラマや映画への出演ほか、生き様パフォーマンス集団「東京QQQ」のメンバーとしても活動中。

──今回の対談相手としてアオイヤマダさんを指名されたのは松尾さんです。その理由は？
松尾　自分の絵とアオイさんの〝色味〟が合うんじゃないかと思ったんだよね。
アオイ　なるほど！
──アオイさんは松尾さんからのオファーを受けていかがでしたか？
アオイ　このお話をいただいたタイミングで、ちょうどスタイリストの北村道子さんの『衣裳術』を読んでいたんです。その中に松尾さんのお名前が登場していて。それで、北村さんが衣裳デザインを担当された松尾さんの監督作『恋の門』も拝見しました。とても好きな映画になりました。
松尾　それはよかった。北村さんはアバンギャルドな方。衣裳のアイデアがいつもぶっ飛んでいて相当、面白かったですよ。『恋の門』は、僕が40歳くらいのときに撮ったものですね。
アオイ　『恋の門』では監督をされて、脚本も書かれていて、もちろん出演されている。ひとつの作品の中にいろんな要素で松尾さんの感性が散らばっていると思いました。それは、私が表現をする上で理想とする形です。ひとつの役割に絞るのではなく自分ができることを表現したい。松尾さんはそんな私の目指す先にいる方なのだなと。今回は、さらに数々の絵をいち早く拝見することができて感動しました。撮影では、作品に負けないぞと戦う気持ちで挑みました（笑）。
松尾　アオイさんのことを認識したのは、最初は名前から。〝アオイヤマダ〟ってちょっと〝松尾スズキ〟的じゃない。それで、この方はどんな人なんだろうと興味を持った。まず、インスタグラムをフォローさせてもらって。いろいろ拝見したら、踊りがすごくいい。僕は、ダンスが好きでいろいろと見るんだけど、この世界って美しさを追求する沼にハマっていく人もいるじゃないですか。でも、アオイさんの踊りはそれには到底当てはまらない、ちょっと異形な〝モノノケ〟感があった。異世界へと誘ってくれるような可笑しいダンスで、それが僕の趣味だなって。
アオイ　ありがとうございます。私も松尾さんの絵の世界がとてもユニークで大好きになりました。さっきうかがったら、奥さまにポーズをしてもらっているものもあるとか。それが意外でした。実際にあるモチーフにインスピレーションを受けて描くことが多いんですか？私からすると松尾さんの絵の世界もとても異界的です。松尾さんの頭の中に住んでいるものたちを描いているのかなと思いました。
松尾　いや、おっしゃる通り、想像上のものが多いですよ。妻にポーズしてもらったのは、現実感のある足を描きたいと思ったから。
アオイ　あと女性の体の描写も目を引きますよね。以前、女性を艶っぽく表現する映画監督に話をうかがったら3歳くらいのころに強烈な性への目覚めがあったとか。松尾さんも、幼少期になにかトラウマになるようなことが……？
松尾　いや、トラウマはとくにないと思うんだけど（笑）。単純に女性の体のラインが好きなんだろうね。毎日、メモ帳にスケッチを描くようにしているんだけど、それも女性の絵が多いかな。
アオイ　それは、日課みたいに？
松尾　そう。うまくなれ、うまくなれと願をかけるようにしながら筆を走らせていますよ。今日はお会いした印象をもとにアオイさんを描こうかなと思っています。
アオイ　うれしいです！

松尾　僕の絵は一点だけ見て判断してもらえるものではないでしょう。だから個展では、アオイさんが対峙してくれたように一斉に並んだ様をみてもらって、そこに醸し出される〝何か〟を感じていただけたらいいと思っています。でも、そうやって物量で勝負すると決めたからには、日々コツコツ描くしかない。たまったスケッチも全部ばーっと貼り出すつもり。夏休みの自由研究みたいに（笑）。キャンバスにアクリル絵の具を使用したものも今年に入ってから70枚以上は描いたんじゃないかな。ドラマの仕事も断ってまでやっていますから。貧乏になりますよ、なんのお金にもなりゃしないの（笑）。
アオイ　それでも描きたいと思うのは、純粋に楽しいんじゃないですか？私も毎日、お弁当を作って、インスタグラムにアップをしています。今着ているレオタードにも、そのお弁当の写真がプリントされているんです。食べることが根本的に好きだから続けられるんだと思っています。色の配置から構成を練っていて、まずは赤を入れて、緑を置いて、ちょっと黄色も足したいなとか頭をひねるのが醍醐味。料理中って、今向き合っている作業以外のことはあまり考えられない。ただひとつ、それだけの世界に没頭するところが瞑想に近いんじゃないでしょうか。

松尾　なるほど。その感覚はわかるな。僕にとっての日々のスケッチも一種のメディテーションなのかもしれない。下書きもせずにいつも一発描き。失敗したくないから、結構、集中しないとできないんですよ。

アオイ　お聞きしたいのですが、松尾さんは、執筆も、映画を撮ることも、絵を描くのも、すべて同じマインドでされていますか？私は、ダンスも、演技も、お弁当を作ることも、全部自分の表現の一環だと思っているんです。どれが本職ということがない。だから、肩書きがなんなのかと問われるのがいちばん困ります。松尾さんもきっとそうなんじゃないのかなと思いました。
松尾　同じマインドかと問われると、映画や芝居は人とのコミュニケーションが必要だから、文章を書くことや絵を描くこととはちょっと違う回路なのかもしれない。ただ、僕も肩書きを求められるのはつらいですよ。「何が活動の柱なんですか」とかよく質問されるけれど、どれがいちばん大切かなんて、もうわからないですね。ただ、原点は何かと聞かれたら、それは漫画と、そこにある人間の動きの表現だと思います。僕は赤塚不二夫さんの作品が大好きで。先生の漫画は動きがあって独特の世界がある。それに触発されたのが最初で、以降はいろんな喜劇俳優の真似をするようになっていった。だから根本に漫画があって、そこから波状に種々の表現が広がっていると思っています。
アオイ　原点で言うと、私も17歳で寺山修司さんの作品と出合ってから、「これをやりたい！」と強く思えるようになりました。それまではきちんと前を決めて、振りがついてないと踊れなかったんです。でも、寺山さんの作品を知って「ダンスって決まりごとじゃないんだ」「ファッションやアートと絡まりながら表現できるんだ」と実感したことでパフォーマンスがガラッと変わりました。
──松尾さんがアオイさんに感じている、動きの魅力。それは、松尾さん自身がパフォーマンスやアート作品で表現したいことと通底しているのでしょうか？
松尾　そうですね。自分は少年から青年期と〝動きの不自然さ〟を揶揄されて悩んでいて。18歳でデヴィッド・バーンのパフォーマンスに触れて、「こういう動き好きだな」と真似していたら、ディスコとか行ってもね、踊ると浮くんですよ。僕、アオイさんが松本市でやられた成人式のパフォーマンスもすごく好きで。マスクした背広のおじさんが関わり合いになりたくないなって表情で見ているのとか最高じゃないですか。
アオイ　あれは市長さんに式典らしい雰囲気を壊してくれと言われたんです。本人が壊すわけにはいかないから、その思いを受け継いで花道を叫びながら思い切りダッシュしました（笑）。
松尾　抑圧からの解放ですよね。普通のフリをしていない〝強さ〟がいいなと思いますし、自分の表現の根底にも普通を演じるつもりはないというのが常にあります。やるなら変な人がいいんです。社会の隅の異物を肯定してくれるようなものが。僕は今、それを絵によって解放しようという気持ちでやっているんだなと思います。それにしても、アオイさんのああいうストレンジな感じって意図してそうしているんですか？それとも抗えず出てしまっているものなのかな？
アオイ　どうなんでしょう。すべて意識しているわけではないので、出てしまっている部分はあると思います。
松尾　それはすごい才能じゃないですか。
 アオイ　ただ行きすぎて失敗したなと思うことも多々あります。
 松尾　それもわかる。びっくりさせちゃうんだよね。ヤマアラシのジレンマだね。僕も若い頃は、「そんなことばかりするから愛されないんだよ」と言われたりしましたよ。一方で、それを求められていたというのもある。すましてないで過激な芝居をしてくれっていう。
 アオイ　そうなんですよね、私も性格的には別にいつもハイテンションなタイプではないんです。落ち込むこともある。でも、サービス精神ゆえに、あえてハイテンションに自分を持っていってしまったり。そうしていると、正直、自分はどこに向かっているのかわからなくなるときもあります。これはアートなのだろうか、なんなのだろうか、と。松尾さんは芸術という言葉にはどんな感覚を抱きますか？今回の個展のタイトルは『芸術ぽぽぽい』じゃないですか。
松尾　このタイトルはシンプルに語感の響きで選んだだけだからあまり意味はないんだけどね。芸術っぽい…いやもっと、ぽぽぽいみたいなことで。でも、いつも芸術とエンターテイメントの狭間で揺れ動いているように感じてます。僕は、自分の中には真っ当なエンターテイメントの才能が希薄なんだと思っています。演劇を選んだのも、そういう理由かもしれない。セリフを喋って、動いて、イマジネーションの力で表現として成立するところが演劇にはある。だから、アオイさんから意図せずに出てしまうものこそ芸術的なのでは。アオイさんが演説をした式に参加した新成人たちは、何年後かにあの日の光景を夢に見るかもしれない。いい意味で、奇抜な形になっている気がするけど、そういうのがいいなと思うんです。

──最後に、これから松尾さんがアオイさんと仕事をされるとしたら、どんなジャンルになりそうですか？
アオイ　それ、聞いてみたい！
松尾　演技の仕事も拝見しましたよ。
アオイ　Netflixのドラマ『First Love 初恋』ですか？
松尾　うん。やっぱりテレビのサイズの方じゃないなと思いました。テレビの芝居はどうしても明確な説明をつけていかないといけないので。アオイさんには、出た瞬間になんともいえないふわっとした広がりがある。ちょっと得体が知れないものが。そういう存在感が映画的。整理つかない部分は、整理しないままでいいと思うので、そのにじみ出る部分を大切にしてほしいです。
アオイ　そう言っていただけてうれしいですが、ただ自分ではまだわからないところもあって。演技は即興的なダンスとはまた違う表現なのでやっていて楽しいですが、難しいです。
松尾　実は、アオイさんが歌舞伎町で東京QQQとしてやられていたパフォーマンスをみて、これだと思ったものがあって…（と、一冊の本を取り出す）。逆柱いみりさんの『赤タイツ男』という漫画です。ひとりの男がただ異界をさまよう物語。これをアオイさんと一緒に舞台にできたら面白そうだなと思いました
 アオイ　えー！気になる。（ページをめくりながら）めちゃくちゃいいですね。
松尾　この作品はぐるぐる回る舞台でやるのが相応しいなと思っていて。異形の連中がまわりながら変な動きを永遠にしているようなもの。回転式のステージはお金もすごくかかりそうなので、いつ実現できるやらだけど。僕の冥土の土産になるかもしれない。
アオイ　いや、もう、待てない。すぐにでもやりたいです！

生誕60周年記念art show 『松尾スズキの芸術ぽぽぽい』

会期_12月8日（金）〜15日（金） 
会場_スパイラルホール（スパイラル3F）
初個展のために描き下ろした絵画をはじめ、線画や自身が手がけた舞台美術など、松尾スズキがこれまでに描いてきたアート作品250点以上を、表参道にて一挙大公開！ここでしか出合えない“アート”という分野だからこそ見えてくる、松尾的アクロバティックな世界をぜひ体感してほしい。会場内の音声ガイドは松尾自身が務め、生誕60周年記念イベントをナビゲート。また、会期中には上映会やトークセッションなど、特別なイベントが盛りだくさん。展示アートを網羅した図録、松尾絵画のジクレー、作品をプリントしたオリジナルグッズなどを販売予定。チケットなどの詳細は特設サイトにて確認を。

アオイヤマダ、“松尾スズキ”と踊る

おしゃれな人が使っている日用品

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