愛すべき服を「いつもキレイに美しく!」。今の時代だからこそ実践したいホームクリーニング術をプロフェッショナルに教えてもらいました。#大切なものほど自分でケア。お手入れとお洗濯
ホームクリーニング術をプロたちが指南|アウターのお手入れ編

カシミアコートの正しいお手入れ
ヴィンテージもケアで復活
風合いが命のカシミアコートはできるだけドライクリーニングの回数を減らしたい要注意アイテム。写真は「7〜8年前にヴィンテージで見つけたコート。購入時は毛並みもベタッとなってしまっていたんですが、しっかりブラシをかけることでリペアに近いレベルまでちゃんと復活。毛足が長いものほど手入れで表情が大きく変わってきます。擦れてしまうので肩がけでバッグを持たないなど、着方にも配慮したいですね」(髙田)。硬くなってしまった場合は、プロによる水洗いに相談したい。
ダウンジャケットは水洗いOK
羽毛のダウンジャケットはドライクリーニングに何度もかけると「保温性がなくなってしまいます。ファーつきは、取り外せない場合は対応可能なお店に相談。それ以外は自宅で手入れが可能です。汚れやすいところは石けんで部分洗い、洗濯機だと浮いてしまうので中性洗剤を入れて浴槽で踏み洗いを。脱水して中まで完全に乾いたら乾燥機へ。コインランドリーの大きな乾燥機ならふわふわに」(古田)
エコファー、エコレザーのお洗濯は?
普段はブラッシングでOK!
「エコファーやエコレザーはケアラベルを見て判断すると良いですが、基本は化繊なので洗っても問題ありません。ホームランドリーの場合は仕上げに柔軟剤を使うことで風合いを保つことができます」(古田)。写真は髙田さんが3、4年ほど前に購入した〈アリーズ〉のエコファーブルゾン。着用頻度は高かったものの、毎回きちんとブラッシングすることで毛並みもつぶれることなく美しさをキープ。「付着物をしっかり落としてあげることで、シーズン中はクリーニングいらずで節約にも」(髙田)
ゴム引きコートやパテントは拭きとりケアで
ドライクリーニングでは「硬くなってくるので出す回数をできるだけ少なく。コーティング素材も油成分が溶けてしまうからNGです」(古田)。ゴム引きに適しているのは水洗い。「機械力をあまり加えず粒子の細かいクラスタルウォーターとマイクロバブルで洗うためシワも入らずキレイになります。自宅では汚れたら水を絞ったタオルですぐ拭くように。エナメルも時間が経つと汚れが中に染み込んでとれなくなります。早めに処理するのが賢明」(中田)
意外と難題のギャバジンコート
襟アカは予洗いが肝心!
谷崎さんは〈ルッツ・ヒュエル〉のコート(写真)を自宅で洗濯している。「以前、ピーチスキンの綿ギャバがドライクリーニングで色が薄くなったことがあって。襟回りを予洗いしてからネットに入れてデリケート洗いに」(谷崎)。その後の整形は難しいため一般的にはプロの手を。ただし「襟や袖口、ポケット口、裾回りは、皮脂などの油性の汚れと、汗などの水溶性の汚れが混ざっています。ドライだけではとれないので水洗いができるお店に」(中田)
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教えてくれた方たち
ナチュラルクリーン 代表代行
中田輝道
伊勢丹新宿店などにショップを構える千葉のウォータークリーニング&修復・復元専門店。ブログも必見。watercleaning-kimitsu.net
レジュイール 社長
古田陽祐
独自のノウハウでファッション関係者から絶大な支持を集める高級クリーニング店「レジュイール」を率いる。www.rejouir.co.jp
スタイリスト
髙田勇人
祐真朋樹氏に師事し2016年に独立。洗濯歴は長く、高校時代から大切な服は自分で洗っていた。「良いものを長く着ることはサステイナブルにも」