アジア最大のファッションイベント、CENTRESTAGE(センターステージ)が9月6日(水)〜9日(土)に香港コンベンション・エキシビションセンターで行われた。今年は「Radiant Wellness」をテーマに、18カ所の国と地域から210以上のブランドが参加。4日間の会期中に78の国と地域から7,700名以上のバイヤーが来場した。会期3日目は記録的大雨に見舞われ、一部キャンセルになったスケジュールもあったが、4年ぶりのリアル開催は多くの人で賑わった。
〈FETICO〉が残した赤の余韻、香港がファッションに満ちた4日間
アジア最大のファッションイベント『CENTRESTAGE』をレポート!

開幕式のガラ・ショー「CENTRESTAGE ELITES」では、日本を代表するブランド〈フェティコ〉が24年春夏コレクションを発表。8月28日に東京・寺田倉庫で開かれたショーで見せたルックは1体のみ使用し、他の19ルックはセンターステージのためにスタイリングを一から組み直した。
「今回のコレクションを作るときには、東京と香港でショーを行うことが決まっていたんです。香港のショーは、東京とはまた違った見せ方をしたいなと思い、この街をイメージして、赤と白を基調にしました」と、デザイナーの舟山瑛美さん。個が強く、独特の色がある人に惹かれる、という舟山さんが今季ミューズに選んだのは、香港のシンガーソングライターで俳優のフェイ・ウォン。映画『恋する惑星』に出演したことでも知られる90年代のアイコンだ。フランスの現代美術家ソフィ・カルの写真集『THE HOTEL』もインスピレーション源に。“DO NOT DISTURB”をテーマに「自分らしくあることを楽しむことができれば、人生はもっと豊かになるはず。自由に生きる女性を誰も邪魔しないで」そんな思いを込めてコレクションを完成させた。
ショーが始まると、会場は真っ赤な光に包まれ、赤や白、芍薬柄のルックを纏ったモデルたちが登場。大胆なカッティングや可憐なフリルなど、繊細でありながら強さのある美しさが際立つ。肩書きや年齢に捉われず、個性を大切に生きることへのメッセージがファッションを通じて発信された。
「CENTRESTAGE ELITES」では、パリ・ファッションウィークなどで国際的に評価される香港のデザイナー、ウィルソン・チョイが手がける〈REDEMPTIVE〉も登場した。トラッドやモードをベースに、ロングフリンジやネクタイで独自性を込めたスタイルが印象的。日本上陸が待ち遠しいブランドだ。
たくさんの出展者が集まる展示ブースには、持続可能な活動を実践する国内外のファッションブランドが目立つ。日本からは、合同展示会プラグインとの提携により、絶滅危惧種の動物たちに寄り添ったフェアトレードグッズを取り扱うブランド〈SAMSARA〉や、カラフルなクレイジュエリーのブランド〈niconeru〉が参加した。
イベント最終日には、若手ファッションデザイナーの登竜門とされる「香港ヤング・ファッション・デザイナーズ・コンテスト2023」を開催。ファイナリストに選ばれた10名のデザイナーのなかから、ジェイソン・インが最優秀賞を獲得した。世界に向けてアジアの最新ファッションが発信された4日間。クリエイティブな若手デザイナーたちの勢いが印象的だった。
この街では、センターステージ以外にも多くのファッションイベントが開かれている。日本のアーティストとのコラボレーションも盛んだ。現地のファッションスポットを訪れれば、まだ日本で発掘されていないアップカミングなブランドもたくさん見つかる。たとえば、ファッショニスタで賑わう香港最大級の「Harbourcity Shopping Mall」には、旬のローカルブランドがぎっしり揃っているから一日では回りきれないほど! ファッションのパワーで満ち溢れるこの街のますますの発展に期待したい。
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