『コントが始まる』(日本テレビ 毎週土曜夜10時〜)7話。「マクベス」の3人は、それぞれ違う道を歩み始めたように見えた。瞬太(神木隆之介)の車を「4 人目のマクベスだ!」とはしゃぎながらみんなで洗車するシーンは切なかった。車のナンバー「2424」の示すゲーム「ぷよぷよ」の作者でライターの米光一成が、登場人物のこの先の運命を大胆に推測し、最終回を占う。
菅田将暉×神木隆之介×仲野太賀『コントが始まる』7話。最終回を大胆予想!新生「マクベス」のコント「ピラミッド」が始まる

7話までのストーリーを振り返る
「コントが始まる」7話、コント「無人島」の回。1カ月後の解散が決定し、「マクベス」の3人がそれぞれ新しい人生に向かって動きだした。
いままでの展開を振り返りながら、最終回はどうなるのか大胆予想してみよう。
コントグループ「マクベス」のリーダーは高岩春斗(菅田将暉)。文化祭で、同級生の潤平に誘われて文化祭でコントをやり、それがきっかけで本格的にコントの道へと進む。
相棒の美野輪潤平(仲野太賀)は、春斗の投げる球を大胆に打ち返すタイプ。高校時代に高嶺の花だった岸倉奈津美(芳根京子)に何度も告白して見事成功。付き合って10年。
春斗と潤平がやっていた「マクベス」に後から入ったのは朝吹瞬太(神木隆之介)。学生時代に「ぷよぷよ」日本一になりプロゲーマーの道を歩んでいたがそれを辞めて、「マクベス」に参加した。行きつけのスナックで働く中浜つむぎ(古川琴音)と兄妹のような関係だと言っていたが、第7話で急展開。
生きるのが苦しくなるほど落ち込んでいた時期に「マクベス」にハマって救われたのが、つむぎの姉、中浜里穂子(有村架純)。
毎週決まった時間にマクベスが集まるファミレス「メイクシラーズ」でアルバイトをしているが、恩田店長(明日海りお)に背中を押され、自分も新しい道を探さなければいけないと感じ始め、就職先を探し出す。
潤平と奈津美、瞬太とつむぎ
潤平と奈津美、瞬太とつむぎのカップルが成立し、残るのは春斗と里穂子になってしまった。
とはいえ、この二人は恋愛に発展しそうにない。コンビを組むしかないではないか(強引な妄想)。
里穂子と春斗のふたりが新生マクベスを結成するのではないか、と最終回を大胆予想してみた。
6話で、潤平と奈津美は、二人の気持ちを確認し、両親に会うことになった。「マクベス」解散後は、実家の酒屋を継ぐことを決意している。もう一波乱ありそうな気配もあるが、道は見えている。
7話、「引っ越す部屋のソファの色が黒がいいかオレンジがいいか」というたわいもないことで、瞬太は、仲の良かったつむぎと喧嘩してしまう。
瞬太は、スナックの良枝ママ(松田ゆう姫)とうらら(小野莉奈)から「鈍感すぎるわ」「誰がどう見ても瞬ちゃんのこと好きだわ」「サプライズも期待してないなんてあれも嘘だからね」と責められ、「そしたら俺、難易度高いわそれ」と頭を抱える。
だが、ゲームセンターの「ぷよぷよ」のランキングを1位から5位まで埋め尽くし、縦読みでSOFA.BLACK「ソファは黒がいい」とメッセージする。つむぎは「ワタシモクロガスキ」を逆さまにして「キスガロクモシタワ」と返事を送る。
ストレートに言えないめんどくさくもピュアな青春ラブストーリーを展開したあげく、瞬太がつぐみにキスをして「サプラーイズ!」「へたくそ」。
働く先は、アルバイトをしている焼き鳥屋の大将(伊武雅刀)のところに決まっているし、瞬太も解散後の人生が動き始めた。
28という数字の一致
瞬太と潤平は、新しい人生に向かって動き始めた。だが、まだ動けない春斗。
まったくどうするかも決まっていない。それどころか、解散後に何をやるか動き出していないし、考えたくもなさそうな様子だ。
残されたもうひとりは中浜里穂子。奈津美と潤平から転職エージェントをやってる友人(四千頭身・石橋遼大)を紹介してもらって、転職先を検討、面接に行く。
面接時の履歴書に書いた28歳という数字と、瞬太の車が中古車として売り出されるときの値段28万円の数字が一致する。
7話では、新しい職場を探す里穂子と、新しいオーナーを探している中古車が、重なるように描かれているのだ。
4人目のマクベス
瞬太の車(ナンバー「多摩 ふ2424(ぷよぷよ)」!)を、「マクベス」の3人で洗車する。「マクベス」と車の思い出を語り合って笑う。春斗は、「別れるときまで気づいてやれなかったけど、こいつ4人目の「マクベス」だったんだなあと思ってさ」と泣く。
ファンであり、いまやマクベス3人の友人でもある里穂子も「4人目のマクベス」といえるような存在だと、春斗はこのあと気づくのではないか。
さらに、こんな会話も出てきた。
ディーラーでもあり芸人の先輩でもある千葉さん(鈴之助)に、潤平が冗談半分に「これって売り物になるんですか?」と聞く。そうすると千葉さんは「たまーに変わったマニアが現れるんだよ」。
里穂子は、売れてないマクベスにハマった「変わったマニア」だ。
そして、千葉さんはこうも言っているのだ。「中古車になってまで買う人はこの車の魅力をわかってくれる人だよ」
里穂子こそが、マクベスの魅力をわかっている人物だと言っていいだろう。
と考えると、この場面、里穂子は、新しい会社に就職するのではなく、魅力をわかっている「マクベス」にこそ就職すべきだという伏線ではないか。
そうなってくると「こっちからも選んでやるっていう気持ちでいいと思うんです」「受かってもやっぱりやめますって言っていいですから」と奈津美が里穂子に言ったのも伏線だ。
里穂子は、面接がうまくいき採用になるが、自分の進む道はこちらではない「マクベス」だと選び取り、会社には「やっぱりやめます」と言うのだ。
「新生マクベス」を妄想
第7話前半で、春斗は、おにぎりを食べながら缶コーヒーを飲むバイト先の先輩とこんな会話をする。
春斗「おにぎりに甘い缶コーヒーよくいけますね」
先輩「合わねえけど余ってるからしかたなく飲んでんだ。人生ってそういうもんだろ」
春斗「絶妙にピンとこないですね」
合わないけど余ったふたりがコンビを組む最終回で、春斗は、絶妙にピンとくるんじゃないか。
いや、マクベスは3人のほうがいいと思うので、もう1人参加するかもしれない。そうなると3人目は、ファミレスの店長の波乱万丈の人生話に出てくるカルロスではないか。
最終話、春斗と里穂子とカルロスの3人「新生マクベス」が、ピラミッドの前で大喧嘩して、カルロスが「ユーアービューティフル!」っていうコント「ピラミッド」をやるのがラストシーンだ(妄想です)。
『コントが始まる』公式サイト(日本テレビ)
脚本: 金子茂樹
演出: 猪股隆一、金井紘
出演: 菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀、有村架純、古川琴音、松田ゆう姫 他
主題歌: あいみょん「愛を知るまでは」
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Illustrator オカヤイヅミ
漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。趣味は自炊。
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