ファッションやアートなど、さまざまな分野の表現者たちが作りあげたプライベートルームを拝見。もの選びの基準、色彩へのアプローチ、スペースの捉え方。それぞれが追求する“居心地のよさ”とは?
デザイナー・舘 かおり「もの選びの基準は、30年後の自分」|クリエイターたちの快適空間に潜入 vol.4

もの選びの基準は、30年後の自分
舘 かおり
デザイナー
毎朝、部屋中の掃除が終わったら、京都・銀閣寺で買い求めた白檀のお香を焚くのが日課のひとつ。清らかな空気の漂う中、腰高窓に並ぶ花器の傍らで愛猫のムーちゃんがご機嫌よろしくまどろんでいる。
「ここに暮らしはじめてから、花をいけるのも習慣になりました。毎日水を入れ替え、切り戻しをして…。心のバランスの写し鏡のようで、生活リズムが整う気がするんです」
およそ築60年のヴィンテージマンションの一室に舘かおりさん夫婦が住まいを移して1年ほど。転居を機に多くの家具を新調した。いちばん最初に手に入れたのは〈ハンス J.ウェグナー〉のソファだったそう。
「最初は地味かなと思ったけれど、30年後に心地よいと思えるかを基準に、しっくりくるものを選びました」
ダイニングにある〈ジョージ ナカシマ〉のテーブルも、グレイッシュなガラスが美しい〈ピーター・アイビー〉の照明も、ふたりのこれからに寄り添う大事な相棒。納得のいくものに囲まれた環境は、日々のルーティンにもデザインに思いを巡らす時間にも、新鮮な風を送り込んでいる。
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舘 かおり
アパレルブランドのショップマネージャー、ディレクターを経て、2019年にアクセサリーをメインにしたブランド〈LON〉を立ち上げる。「いつかは家具も手がけてみたい」。Instagram→ @k_tachi129