クォーター・ライフ・クライシス。それは、人生の4分の1を過ぎた20代後半〜30代前半のころに訪れがちな、幸福の低迷期を表す言葉だ。26歳の家入レオさんもそれを実感し、揺らいでいる。「自分をごまかさないで、正直に生きたい」家入さん自身が今感じる心の内面を丁寧にすくった連載エッセイ。前回は vol.27 脳の選択
家入レオ「言葉は目に見えないファッション」vol.28 ご近所付き合いのすすめ

vol.28 ご近所付き合いのすすめ
誰かに呼ばれたような気がして、読んでいた本から顔を上げるとレースカーテンに優しい影が。家の外に根を張る木々が風に揺られているみたい。こんなに天気が良いのにもったいないよ!太陽がきらきら笑いかけてきて、トレーニングウェアに着替えて家を出た。
抜けるような青空。夏みたいな雲!もうそろそろ日焼け止めを塗らなきゃなーと不意にスタッフの顔が浮かぶ。目の色素が薄く、紫外線に当たるとすぐ肌が赤くなってしまう私に、毎年夏フェスの出演前に、日焼け止め塗りたくった?擦り込んだ?と面白おかしく聞いてくるあの人は、多分まだベッドの中だろうなぁとじんわりおかしくなって、またフェスで歌いたいなぁと思った。いきなり走ると身体がびっくりするので、グランドまで歩いて行こう、と耳に入れかけたイヤフォンを、やっぱり今日はポケットにしまう。大きく深呼吸して、ゆっくり前を向くと、風が私を追い越して行った。
犬の散歩にご夫婦でのウォーキング。通勤通学中のサラリーマンや学生たち。後ろに子供を乗せて電動自転車を漕ぐお母さんやお父さん。忙しい時間帯だけど、すれ違う時にニコッと笑ったり、軽く会釈したり、一言二言言葉を交わし合ったり。
そう言えば最近近くに引っ越して来た友人が、自転車置き場ですれ違ったお兄さんに朝おはようございますー!って挨拶されたんだよね、と嬉しそうに話していたのを思い出した。東京に来て近所付き合いとか、そういうのって中々ないし、それが当たり前だと思っていたから。でもやっぱり、なんかそういうのってほっこりするねって。言われてみれば、同じ東京でも私もこちらに引っ越して来るまではちょっとした日常の交流なんて忘れていたな、と。
幸せはどんな時でも、そばにあって。それにちゃんと気づける自分であるかは、心のコンディションにかかってる。幸せを上手く感じられなくなっているなって時は、ちょっと疲れている合図。自分にあまーく、やさーしく。じゃあ今日はもうランニングやめて、ウォーキングにしちゃお!と思った自分の頭をはたいて少し息が上がるくらいのペースでよーし!とスタートを切った。
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家入 レオ
16thシングル『未完成』(フジテレビ系月9ドラマ『絶対零度〜未然犯罪潜入捜査〜』主題歌)のginzamagでのインタビュー:
家入レオ、愛と憎しみの区別がつかなくなった「未完成」。
leo-ieiri.com
@leoieiri