服を収納するだけじゃない!?扉を開けると、そこに広がるのは未知のクローゼット。自由に想像してほしいという無茶振りにお笑い芸人のみなさんが応えてくれました。
カベポスター 永見大吾の“妄想クローゼット”
「こんな衣装空間あったらいいな」を語ってもらいました
ふわりとお線香が香ったら
僕の頭に思い浮かぶのは
オーバーオールと鐘の音
たまにお線香の匂いがする洋服を着ている方に遭遇したことはありませんか?もしかしたらそれは、日本の古来から伝わる「和のクローゼット」に並んでいたアイテムかもしれません。
和のクローゼットがあるのは、京都のとあるお寺。東大寺とまではいかない広さで、詳しい場所はそこにたどり着けた人でないとわかりません。そのお寺の鐘には、撞木(しゅもく)と呼ばれる鐘を突く棒にデニムやTシャツなど多様な洋服がズラリとつり下がっています。文明開花の音とともに、このお寺のゴーンという鐘の合図で、ほら、和洋折衷なクローゼットが誕生しました。毎年大晦日には洋服と鐘の音のコラボレーションを一目見ようと、長蛇の列ができるほどです。
収納するときの大事なポイントは、住職さんがどれだけ鐘を鳴らしやすいかということ。時代の変遷とともに、撞木にかけられるアイテムも変わってきましたが、百年以上のときを経て、ようやく最適解が出てきました。それは、デニム素材のオーバーオールを鐘に近い方にかけるのがベストだと。これまでも丈の長いアイテムは持ちやすいと重宝されてきましたが、テロテロとした素材の品は破れてしまう事例がしばしば。耐久性のあるデニムは住職さんの腕力とも相性ぴったりで、オーバーオールが先頭にかかっている日には、いつも以上の力を発揮できることがわかりました。今ではそれを基準として、長い丈のものから短い丈のものへと並べていくのが、セオリーになっています。ただ、あまりにも手にフィットしたからなのか、去年の大晦日では108回鳴らす除夜の鐘を誤って109回目まで続けてしまったとか。住職界隈でプチ炎上をしてしまったそうです。
Illustration_Natsumi Kachi Text_Fumika Ogura