2016年のある秋、クラブイベントでPERIMETRONの胎動が起こっていた。
「もともと、プロデュースをしていた(佐々木)集とは知り合いで。イベントの撮影依頼を受けて行った先で(常田)大希が出ていて。そこで3人が会ったのがはじまりですね。それからは気の合う周りのクリエイターに加わってもらうことで、足りないパーツを集めてカスタマイズしてる感覚。みんな個性が違ってあまりにも能動的なやつらなんで、キメラみたいなツギハギ感があるけれど、魂はひとつ。お互いライバルでもあり、妥協が許されない環境ではあります」
大事にするものとそうでないもの
King Gnuがブレイクし、milennium paradeや他アーティストのMVなどもハイペースで制作する日々。変わったこと、変わらないことは何だろうか。
「根本的には変わってないと思いますが、大事にするものとそうでないものを分け始めたかな。好きなものを共有すること、節目に皆でアホみたいに酒を飲んでバイブスを調整する”宴”とかは変わらず大事にしてます。あと僕はmilennium paradeのMVを『lostand found』まで監督していましたが、チームが大きくなってきたので戦略図を変えました。『Fly with me』からはやらずに、意見があるときは言っていこうと」
「Slumberland」「そなちね」が転機に
ターニングポイントとなった作品はどれだろう。
「『あなたは蜃気楼』は限られた予算、撮影時間のなかで100人以上の演者やスタッフ、広い空間をコントロールして世界観を作り上げることの難しさを学びましたね。それからいくつかの映像制作を経て、『Slumberland』で大規模なものがうまくできるようになった。『Slumberland』は、ポップやキャッチー、クールといった要素に対するバランスがつかめてきたタイミングでした。Tempalayの『そなちね』は集がシナリオを書いて枠を決めて、僕がそれをどう撮るかに集中して。2人の感覚で作っていた部分を分けてみたら、撮影に足りない要素を客観視できるようになったりして、よかったですね」
新しい可能性のある場にドアを置きたい
音楽をベースにした5分ほどの映像という制限があるなかで、MV表現のバリエーションは、新しい技法を用いたり、メッセージの伝え方もストレートであったり比喩的であったりと、幅広く模索されている。
「とにかく自分たちは経験値がなかったので、トライできる要素はできるだけ映像に入れてきました。いずれにしても、観る人に対して、ドアノブをつけるところまでで止めています。ただ、こういうドアもあるよっていうドアノブは必要。開けるのか、どう見るのかは自由。あとは今、PERIMETRONへの先入観がついてきていると思うので、もう少し違う可能性のある場にドアを置く必要もあるんじゃないかとは考えてます」
PERIMETRONとしての展望は。
「尺に縛られないものをやりたいっすね。それと、世界で作品展をやること。日本の市場だけじゃ面白くないし、いかに言語を超えたものを表現できるかっていう挑戦でもある。まぁメンバーそれぞれの展望があるんじゃないかな。方向性は遠くないと思いますけれども」
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