新たに登場した6号車の人々と争うことになってしまった5号車の面々。捕らわれた畑野紗枝(上白石萌歌)の行方は、そして萱島直哉(山田裕貴)の思いは……。ドラマを愛するライター釣木文恵と漫画家オカヤイヅミが、『ペンディングトレインー8時23分、明日 君と』(TBS金曜夜10時〜)6話を振り返ります。5話のレビューはコチラ。
考察『ペンディングトレイン』6話
加藤(井之脇海)「米ちゃん、最高にカッコよかったよ」
考察『ペンディングトレイン』6話
大地の演説が争いを鎮める
萱島直哉(山田裕貴)、白浜優斗(赤楚衛二)を中心に、まとまりかけていた5号車。ところが5話で6号車の人々が本格的に登場してからというもの、一気にきなくさくなった。
畑野紗枝(上白石萌歌)は6号車の男たちに追われ、6号車のリーダー・山本(萩原聖人)が見つけた無線があるという船に逃げ込むも、山本に見つかり捕らえられてしまう。
紗枝を探して6号車の村にやってきた直哉と優斗は、6号車が未来に飛ばされた日、北千住駅で起きた刺殺事件の犯人? らしき、ナイフを振り回す男を山本がはずみで殺し、それによって皆からリーダーとして認められたことを知る。初日から殺人で繋がった6号車。おまけに、元の世界へ戻れる唯一の希望、無線が繋がったという話も山本のウソであることが発覚。
6号車のガラの悪い連中が5号車にやってきて、とうとう乱闘が起こってしまう。彼らだけかと思いきや、一時は友好的にも見えた植村(ウエンツ瑛士)、加古川(西垣匠)ら、6号車の多くの人々も戦いに加勢。争いは大きくなるばかり。
そこで泣きながら声をあげたのが専門学校生の米澤大地(藤原丈一郎)だった。
「なあ! ここ未来やろが! 未来がこんなんでええん? こんな何もないところで人がこんなんでええん? もう戦うんやめよう! 滅びて正解やったって言われんように。せめて人がまっとうな姿見せようや! 未来でさ、もう戦わんとこ」
5号車が未来にやってきたその日からお調子者として振る舞ってきた大地。彼は元の世界ではゲームやイラストの専門学校で学びながら、なかなか成果が出ず、才能がないと言われてきた。彼はネガティブな感情をポジティブに振る舞うことで打ち消そうとしていたのかもしれない。6号車と戦おうとなったときも最後まで反対してきた大地は、憎しみの連鎖を恐れ、悲しんでいた。6号車の人間たちも、大半が自分たちの築いた村が壊れること、限られた物資が奪われることを恐れていただけで、相手を憎んでいたわけではない。結果的に彼の演説が響き、戦いは収まる。
大地とは正反対に見えて仲のいい加藤(井之脇海)からの「米ちゃん、最高にカッコよかったよ」の言葉と、それに笑顔で応える大地がよかった。
Edit: Yukiko Arai