赤面疱瘡撲滅に向かって進んでいく平賀源内(鈴木杏)や青沼(村雨辰剛)たち。しかしその思いを潰そうとする者たちも……。『大奥』12話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。11話レビューはコチラ。
🎨CULTURE
考察『大奥』12話。醜い偏見が未来を潰す
それにしても安達祐実、仲間由紀恵の「大奥」感が凄い、怖い
考察『大奥 』12話(Season2 医療編2話)
身分も性別も超えた
尊い学問の場
男とか女とか関係ないな! 12話を観終えて怒りとともに思ったのはまずそんなことだった。男女逆転の『大奥』を観て抱く感想として間違っているか、とも思ったが、いや、これこそがこの作品が伝えたいことかもしれないと思い直した。性別関係なく、社会のため、未来のためを思ってものごとに取り組む先進的な人々を、既得権益にしがみつく者が潰そうとする構図。まるで今の日本を見ているかのよう!!
10代将軍・家治(高田夏帆)の御台(貴人の伴侶、御台所)・五十宮(趙珉和)が参加したことで、それまで閑古鳥が鳴いていた青沼(村雨辰剛)の蘭学講義はにわかに人気となる。御台、呉服の間の伊兵衛(岡本圭人)、御半下の僖助(新名基浩)、そしてそこにちょくちょく顔を出す平賀源内(鈴木杏)。やがて青沼の講義には杉田玄白(小松和重)ら蘭学医も参加するようになり、この集まりは単なる蘭学講義にとどまらず、田沼意次(松下奈緒)が目指していた「赤面疱瘡の撲滅」に向けての対策を考える場となっていく。その中で、赤面疱瘡が元々熊が持っていた病気であることや、種痘という予防方法があることが明らかに。彼らが身分の差を超え、性別も超えて学問に勤しみ、知恵を出し合い解決策を探るその景色の美しいこと!
五十宮にとっても、この講義はこれまで埋められなかった虚しさを埋めてくれる場だった。だからこそ、彼は命を賭してこの場を守ろうとした。あらぬ疑いをかけられて「蘭学のせいで死んだ」と言われないよう、五十宮は自分の病気を最期まで独りで抱えて死んでいった。
Loading...
Edit: Yukiko Arai