治済(仲間由紀恵)のサイコパスぶりと11代将軍・家斉(中村蒼)の操り人形ぶり。志を持たない母子が天下を統べる立場に立ってしまった『大奥』14話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。13話レビューはコチラ。
🎨CULTURE
考察『大奥』14話。治済(仲間由紀恵)が怖すぎる!
「退屈しのぎ」のためだけに人の命を弄ぶ玉虫色の目に圧倒された
考察『大奥 』14話(Season2 医療編4話)
操り人形の将軍を
中村蒼が好演!
自分の息子の人痘接種を無事済ませた後、片っ端から邪魔者を追いやった治済(仲間由紀恵)。その息子が11代将軍・家斉(中村蒼)になったところから14話は始まった。家斉が53人の子をなしたという史実は、女性将軍では成り立たない。そこで赤面疱瘡と人痘をからめて久しぶりの男将軍として描く、原作のこの絶妙さに唸らされる。
14話を見て、家斉を演じた中村蒼にも唸った。これまでは目力の強いイケメンという印象だったけれど、冒頭、美女が居並ぶ中を歩く家斉の目のうつろさよ! 何もかも母親の言いなりで、無気力で、ただただ子どもをつくるだけの将軍。その雰囲気が全身から溢れていた。松平定信(安達祐実)に進言され、母に子作りを控えると伝えるも、「越中(定信)に言われたのでしょう」とすぐさま看破され、否定されてしまうこの板挟み感。
母から言われるがまま罷免を言い渡した定信に「それは上様のお考えでございますか」と問いただされても「母を怒らせてもよいことはひとつもない」と言ってしまえる情けなさ。彼が自嘲気味に吐いたセリフにもあったが、まさに「母上の操り人形」というにふさわしい雰囲気を放っていた。
治済が、御台(蓮佛美沙子)や側室の前で孫の名前を間違えたとき「これだけおいでになれば失念されることも」とかばった御台に続いて「歳もある、歳も」と付け足すところもよかった。あの頼りない感じが、御台や妾にとってはときに優しさにも映るのだろうな、と思わせるような家斉だった。
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Edit: Yukiko Arai