犬島渚(仲里依紗)がハラスメントで訴えられる。小川市郎(阿部サダヲ)は助けられるか?『不適切にもほどがある!』(TBS金曜夜10時〜)9話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。今夜最終回!8話のレビューはコチラ。
「恋愛をしたことがない人」がいることを私たちは知っている
犬島渚(仲里依紗)がハラスメントで訴えられる。小川市郎(阿部サダヲ)は助けられるか?『不適切にもほどがある!』(TBS金曜夜10時〜)9話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。今夜最終回!8話のレビューはコチラ。
わたしたちはふだん、世代、居住地、趣味と、あらゆる属性に所属して生きている。そのことを描いたのが『不適切にもほどがある!』9話「分類しなきゃダメですか?」だ。
「ワーママ」の代表として社内報のインタビューを受けた犬島渚(仲里依紗)。その発言がアウティングでマタハラ(マタニティ・ハラスメント)だと、部下で妊活中の杉山ひろ美(円井わん)から告発されてしまう。このインタビューで渚は「ワーママ」という属性に合った発言を求められ、それに沿って答えているし、杉山は周りから「妊活をしている人」という属性で語られてしまっている。
いっぽう、秋津(磯村勇斗)は自社のマッチングアプリにあらゆる属性を登録し、恭子(守屋麗奈)と出会う。この二人も、互いの「属性」だけの出会いだ。恋愛相手も分類されて決まっていく。ぴったりと属性があったはずのマッチングだが、ミスマッチが発覚して恭子にフラレてしまったあと、秋津は彼女に恋していたと気づく。「恋愛しなきゃダメですか?」「人を好きになったことがないんです」と自分を分類していた秋津の自己判断は誤りだったのだ。
なお、市郎は昭和ならではの価値観で「(好きになったことがないなんて)いねえよそんなヤツ」と一蹴するけれど、実際はいることを私たちは知っている。「男はつくんねえよ、こんな料理」に注意書きが出ること自体は皮肉だとしても、多くの人が「恋愛をしたことがない人」「男が繊細な料理をすること」を理解している令和は多少なりとも進歩しているのかな、と思わされる。
Edit_Yukiko Arai