GINZA編集部が、新刊3冊をレビュー!今月何を読もうか迷ったら、こんな本はいかがでしょう?
12月に読みたい3冊
今月のGINZA編集部レコメンド
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『世界のすべて』
畑野智美
会社勤めを5年で辞めた鳴海優輝は埋立地の倉庫を改修した喫茶店でアルバイトをしている。推し活にエネルギーを注ぐ元同級生、いつも二人でやって来る女子高生、近所に住むデザイナー、そして店主夫妻。平凡に見える人たちが抱える困難さと屈託に徐々に触れていく鳴海。そんな彼にも人には打ち明けられない想いがあった。「まとも」と「普通」の違いはなんなのか?多様性の世界を生きる人々の内面を真摯に綴った長編。
『傷ついた世界の歩き方 イラン縦断記』
フランソワ=アンリ・デゼラブル
ニコラ・ブーヴィエの旅行記『世界の使い方』を愛読するフランス人の著者は2022年、ニコラの足跡を辿りイランへと旅立つ。テヘランの街角で体制への批判を叫ぶ女性とメッセージを交わし、自分をはねた車の運転手に目的地まで送ってもらい──美と残酷さが同居する国の光景が著者に言葉を紡がせる。構えずに読んで欲しい紀行文学。
illustration_Yousuke Kinoshita