宇宙人・高橋さん(角田晃広)の「能力」に頼れない状況に遭遇した遠藤清美(市川実日子)。人間が「自力」を発揮する。『ホットスポット』(日テレ 毎週日曜よる10時30分〜)4話を、ドラマを愛するライター・釣木文恵と、イラストレーターのオカヤイヅミが振り返ります。3話レビューはコチラ。
『ホットスポット』4話。人を苛つかせる天才、 角田晃広の本領発揮
宇宙人の能力を清美(市川実日子)の「自力」が上回った

考察『ホットスポット 』4話
フロントスタッフとしては
地球人以下
1話から日常に溶け込んでいた宇宙人、高橋さん(角田晃広)。回を追うごとにその能力があることの「当たり前」感は強まっていったが、4話ではとうとう宇宙人の能力を遠藤清美(市川実日子)の「自力」が上回った。
「地球人離れした能力を持っているけど、正直、フロントスタッフとしては地球人以下だと思う」
清美がこう思うのも仕方ない。客室の電球交換も、その部屋の客(吉村界人)が1人のチェックインで2人泊まろうとしていた不正宿泊への対処も、そして客室のお湯が出ないというピンチの解消も、すべて清美が「自力」で行ったのだから。高橋さんはといえば、最初に電球交換に行ったものの、隠れていた女性が窓に映っているのを「幽霊がいた」と逃げ帰っている。清美の代わりにやっておくはずのルームアサイン(部屋の配置を決める作業)もほとんど進んでいない。「説明書を読んだうえで“能力で”給湯器を直す」という提案も、「頭脳系の能力を使うとハゲる」という主張で拒む。なお、清美は「時期が早まっただけで、能力使わなくてもどのみち自前でハゲてただろ」と思っている。
高橋さんの、人間(宇宙人だけど)としての小ささ、情けなさは、とどまるところを知らない。同僚・由美(夏帆)の「角部屋には霊が出る」という話を真に受けて「俺、霊感強いのよ」と言い出すところ。能力を使って入学(その後勉強についていけず中退)した山梨大医学部を自慢するところ。「休んでていいですよ」の提案をワンターンで受け入れる姿勢。追加の宿泊料金請求というひと仕事を終えた直後の清美にすぐ事務作業交代を促す感じ。駆けつけた支配人(田中直樹)の「2人ともありがとね」を受け入れたところにも清美はイラッとしている。さまざまな出来事が終わったあと、何もしていない高橋さんが体力回復のお風呂に入ろうとしているのもさることながら、「イラッとした?」と聞いてくるところがまたうっとおしい。気持ちを隠しきれず清美が一瞬真顔になるのもわかる。こうした些細な言動で相手の苛立ちを引き起こす振る舞いは、さに角田の本領発揮だし、あまりにも細かな着眼点はバカリズム脚本の醍醐味だ。
Edit_Yukiko Arai