“FOODIE”なあの人を誘って
#12
The Jade Room + Garden Terrace
[神谷町]
スターシェフの独創的なアイデアで
和食材のポテンシャルを再発見
窓から東京タワーを目前に眺められるここは、「東京エディション虎ノ門」の31階。ホテル待望のシグネチャーレストランが誕生した。
手がけるのはイギリスのフードシーンを牽引するトム・エイキンズだ。当時英国人シェフとして史上最年少でミシュラン二つ星を獲得し、ロンドンなど各都市に店を構える彼が東京初進出。
トリュフ以外はほぼ国産の素材を使い、発酵食品を取り入れるなど、日本文化へのリスペクトがうかがえる。食材名のみが書かれたコースメニューを見つつ、ワクワクしながら料理の到着を待つと、クリエイティブで驚きのある皿が次々に現れる。細部まで手が込んでいて、メインに添えられたニンジンは可愛らしい花形に。手間暇を惜しまず、多くの工程を経ることで、未知なる重層的な味わいを生み出している。
なかでも根セロリを丸ごと使ったカルパッチョは象徴的な一皿。薄い輪切りの下には、ムース、ピクルス、アイスクリームが隠れていて、さまざまな食感と温度で食べ進めるのがなんとも楽しい。オイルや乳成分は控えめにして、野菜本来の甘みが立つバランスを計算しているのだとか。そして皮まで余すことなく使い切る。サステイナビリティへの配慮も信条だ。自家製サワードゥブレッドの端は味噌の材料に活用する。
サプライズのように挟み込まれるアミューズも粋。牛と昆布のスープやじゃがいもチップスなど一捻りされた小皿がコースのアクセントに。特別な日に訪れたいレストランがまた増えた。