カカオの魅力と可能性にあふれた、
新感覚ラボに感動
歴史ある「日証館」(渋沢栄一邸宅跡地)の一角に誕生した「nib」。同館にあるチョコレート&アイスクリームの店「teal」で話題をさらった眞砂翔平シェフによる新店だ。「カカオの新たな可能性を探究するラボ」をコンセプトに、席につくとまずはロースト体験が始まる。焙煎した豆を砕きチョコレートの原料になるニブをお客さん自らが作るという試みだ。カリッとかじるとほろ苦く、口いっぱいに風味が広がる。水出ししたカカオ豆のお茶と共に提供される8種の小菓子は一見シンプル。けれど従来は主役になり得ないカカオパルプ(果肉)やシェードツリー(直射日光から守るため日傘の役割として植える木のこと)など、原料にまつわるあらゆる素材が活かされていて、驚かされる。「カカオは捨てるところがなく、その可能性は未知です。90%がチョコレートになると言われますが、ここでは異なるアプローチで提供しています」。その言葉通り、メインのパフェも圧巻だ。パルプのあんかけでマリネした果実、ハスク(皮)を煮出した出汁のジュレ。そして最初に焙煎したニブが姿を変え、トップにあしらわれている。いわゆるチョコレートはほとんど登場しない。しかし最初から最後までどっぷりカカオづくし。この上なく美味しくて、勉強にもなる。ここに来れば、つうになれること間違いなし。