メイクのテクニックで自らの運命を切り拓いた女性の成長譚を二つの淡い恋を交えて描く映画『女神降臨』。二部作に及ぶ学園ドラマで主役を務めたKōki,に撮影秘話を尋ねた。
『女神降臨』主演のKōki,にインタビュー
しなやかなミューズへの軌跡

漆黒の世界で際立つ凛とした眼差し。3月と5月に公開を控えた主演作のタイトルさながらに、撮影現場にミューズが舞い降りたかのようだ。圧倒的な存在感を放つKōki,にとって3作目となる映画『女神降臨』は、コンプレックスを克服するために独学した化粧の技術によって人生も開かれていく女性の9年間を描いている。まずは、脚本を受け取った時の感想を聞いた。
「テンポよくストーリーが進んでいき、気づくと前後編をいっき読みしていました。"3人の関係"はどうなるの!?とハラハラしたり、きゅんきゅんするシーンではにやけることも(笑)」
Kōki,が演じる高校生の麗奈は地味で冴えないという理由でいじめに遭い、不登校となる。大好きなホラー映画三昧の引きこもり生活を送るなかで、たまたま流れたメイクレッスンの動画のトリコに。以降、見よう見まねでテクニックを習得し、自身の魅力を引き出す化粧術を身につけた。再出発に転校した先で彼女は友達に恵まれるだけでなく、恋の予感も!しかもその候補は学年一の秀才である俊(渡邊圭祐)と歌手を夢見る悠(綱啓永)の二人、という思いがけない展開も待っていたのだ。となると、Kōki,が台本を読んだ段階で、にやけてしまった場面も気になってくる。
「それぞれとのやりとりの中にありました。俊くんとのできごとは彼が『麗奈は麗奈だよ』という言葉と共に、全てを受け入れてくれるところ。悠くんとは二人でお買い物に行って、彼の唇にリップを塗ってあげるシーンですね。顔と顔の近さが想像できたので。ドキドキしました」
悠にグロスを塗るだけでなく、麗奈が後輩や家族など大切な人にメイクをする一幕も。その人の顔立ちをよく見て線を引き、色をのせる。トレンドのテクニックをてんこ盛りにするのではなく、本人の個性が光る化粧をしていく。心機一転を決めるまで鏡と向き合い、自分を輝かせるための研究を重ねてきた麗奈だからこそできることだ。
「おかげで私のメイクIQもずいぶん上がりましたね。台本に書かれている知識はもちろん、ヘアメイクさんから教えていただいたものもあります。アイシャドウを鼻の上にポンとのせるとまとまりが出ると聞き、ふだんでも実践しています」
ちなみにメイクデビューはいつ?
「たしか、4歳くらいでした。ドレッサーにある母のリップを塗ってみたんです。私は母がメイクをしている姿を眺めるのが大好きで、やってみたいと思ったんですよね。その時はまねできただけで満足でした。本格的に化粧に興味を持ったのは中学生の頃です。姉が私にメイクをしてくれて。いろんな質問をしたのを覚えています。それに一つずつ答えながら手ほどきをしてくれました。麗奈の師匠が(ヘアメイクアップアーティストの)セレーナであったように、私の先生は姉でした」
Photo_Ryohei Ambo Styling_RyokoKishimoto Hair&Make-up_Mikako Kikuchi (TRON) Text_Mako Matsuoka