初の著書『とんかつ屋のたまちゃん』を出版された、俳優の安藤玉恵さん。幼い頃から周りの大人たちとたくさん「おしゃべり」でコミュニケーションをとってきた安藤さん。そんな彼女が考える「おしゃべりの役割」とは?役を演じる上で参考にする、周りの大人たちについても。
安藤玉恵、初の著書『とんかつ屋のたまちゃん』に込めた思い 【後編】
演じるように書いた本で見つけた「おしゃべり」の役割

「実際に会ってしゃべる」ことの
大きな役割
──著書『とんかつ屋のたまちゃん』を読んでいると、安藤さんは幼い頃からずっと、周りとおしゃべりしてコミュニケーションをとっている様子が伺えます。商店街の人たちとおしゃべりして、親戚のおばさんたちとおしゃべりして。
ね。本当に子どもの頃からずっとしゃべってたんでしょうね(笑)。好奇心が旺盛だった私を、商店街のみんな、親戚のみんなが受け止めてくれたんですよね。全員がちゃんと私と話してくれた。そのやりとりが、やっぱり圧倒的に面白かったということなんだと思います。
──「おしゃべりの偉大さ」という言葉も文中にありましたが、おしゃべりって結局何がいいんでしょう?
実際にしゃべってみると、「まあこんなもんか」というの、ありませんか?
──「こんなもんか」ですか?
直接対面してリアルに相手の声を聞くと、会う前に想像しているよりも安心するというか……。会う前は怖そうと思っていた人も、実際に会って話してみたら全然怖くなかったり。そういうの、話した瞬間にわかったりしません?
──ああ、わかる気がします。
それがおしゃべりの効能というか、役割として大きいんじゃないかな。人は誰もみんな、思っているよりは怖くない。「みんなこんなもんなんじゃない?」みたいな、そういう適当さ、寛容さとか、そういうものを私は幼い頃からおしゃべりを通じて身につけていたのかもしれません。

Photo_Kanta Torihata Styling_Kei(salon de GAUCHO) Hair&Make-up_Eriko Yamamoto Text_Fumie Tsuruki