ファッションに関わる男性たちの一風変わった趣味に迫っていく連載、「ファッション業界紳士の偏愛趣味」。ギークな紳士の方々による偏よりまくった趣味話は、必ずやみなさんの好奇心と知識欲を刺激してくれることでしょう。
ファッション業界紳士の偏愛趣味 vol.2〈ON TOKYO SHOWROOM〉海藻悠介さん直伝!LA仕込みのカリフォルニアロール
〈ON TOKYO SHOWROOM〉に所属する海藻悠介さんの趣味は、カリフォルニアロール作り。
ホームパーティでもその腕前を披露しているそう。というか、カリフォルニアロールってそもそもどんなもの?家で気軽に作れるようなもの?今回は実際にカリフォルニアロールを作ってもらい、身をもってその答えに迫ってきました(役得)!
カリフォルニア留学中、
アルバイトでスシ・シェフに。
──よくホームパーティでカリフォルニアロールを作ってらっしゃるとうかがいました。
一度だけですよ(笑)。オフィスをシェアしていた会社の引っ越しパーティで作りましたが、自分でネタにしていたりもするので、噂がひとり歩きしているみたいです(笑)。
──それはいつ頃のお話なんですか。
1年くらい前ですかね。
──そもそも、カリフォルニアロールを作り始めたきっかけからうかがえればと思うのですが。
10年以上前のことですが、19歳から24歳のとき、アメリカに留学していたんです。
マニアックな音楽好きの親父の影響もあり、向こうでは学校に通って語学とアートを勉強しました。サンディエゴの上のほうにあるオーシャンサイドという小さな町に3年ほどいましたね。名前どおりの海沿いにある町で、学校が終わったあとサーフィンをしたり。色白ですけど、海は好きです(笑)。
──カリフォルニアライフにどっぷり浸かったわけですね。
手っ取り早いアルバイトがレストランだったんですけど、憧れもあってスシ・シェフになりました。近くの大きめのお寿司屋さんに行ったらすぐに雇ってもらえましたね。
──スシ・シェフになるための修行期間はどれくらいだったんですか。
1週間でしたね(笑)。
──なんと(笑)。ちなみに、それまで料理の経験は?
ないです(笑)。焼き鳥屋でアルバイトしたことがあったくらい。家で作ることもありませんでした。
──1週間あればできるものなんですね(笑)。
まずはひたすらロールを作る練習をして、そのあと握りにも挑戦して。僕の師匠はメキシコ人のへスースさんでした(笑)。家族で働いているという人たちも多くいて、へスースもそうした一家のお父さんでしたね。背が小さくて髭を生やした、典型的なメキシコ人。そこのお店で成り上がった成功者で、ランドローバーに乗っていましたよ。
──へスースさんの指導はどういったものだったんですか。
すごくやさしかったですよ。でも、メキシコ人が一生懸命働く中で、日本人だからってフロントに立つことをよく思わない人もいて、一度僕がナイフで手を深く切ったときに、メキシコ流の治療法だからと傷口に塩とレモンをかけられたこともありました。入って2カ月くらい経った頃ですが、それが洗礼でしたね。1年くらい働いて、最後はメキシコ人のホームパーティにひとりで行くくらい仲良くなりましたけど。
実際にカリフォルニアロールを
作っていただきましょう!
カリフォルニアロールは
お寿司とブリトーのフュージョン
──日本にカリフォルニアロールってありますかね。
いいえ、ほとんどないと思います。日本人が考えているものは、カリフォルニアロールとはちょっと違いますね。
──それはぜひ聞きたいところです。
基本、アボカドです。中にも入っていますし、巻いたあとロールの上にも魚と交互に乗せたりします。
──上にも乗せるんですね。
カリフォルニアはもともとメキシコの領土で、国境近くということもあり、いまでもたくさんのメキシコ人が住んでいます。日本のラーメン屋のように個性豊かなブリトー屋さんが数多くあるんですが、カリフォルニアロールは日本のお寿司とメキシコのブリトーのフュージョン料理だと思うんです。まあ、本当の歴史は諸説ありますけど(笑)。
魅力は無限のバリーエーションと
やっぱりインスタ映え(笑)
──アボカド以外で、カリフォルニアロールに入るものは決まっているんですか。
自由の国で発展した食べ物なので、決まりはありません。ベーシックなものは中にアボカド、きゅうり、カニカマを入れ、上に乗せるものでバリエーションを加えていくんです。それがサーモンだったり、ウナギだったり。
──中に入るものではなく、上に乗せるものが変わっていくんですね。
基本的にはそうですが、中のものを変えることもあります。カニカマの代わりに本物のカニを入れてみたり、変わり種としてはエビ天を巻いてみたり。
──エビ天!
天むすに近いです。カリフォルニアロールのバリエーションは無限大なんです。
カリフォルニアロールは見栄えがきれいなのも特徴ですから、ホームパーティにもおすすめです。アボカドのグリーンに、まさごのオレンジを効かせて、インスタ映えを狙いましょう(笑)。見た目と味のギャップで、サプライズ的な要素もあります。
日本ならではの食材を使ったレシピで
外国人ゲストを”おもてなし”
──バイトしていた頃から10年くらいのブランクがあったかと思いますけど、できるものなんですね。
まあ、めちゃくちゃ簡単ですから(笑)。ご飯を敷いて具を巻き、その上に乗せるだけ。ただ、仕込みというか材料の手配が大変なので、大人数のときじゃないとなかなか作れません。
──握りよりも、やっぱりカリフォルニアロールがいいんですよね?
作るにも食べるにも手軽な気がします。材料を揃えるのがちょっと大変というくらいで、仕込みもそこまで必要ありません。切って、巻いて、素材がおいしければOKという。
ただ、ひとつだけおいしく作る秘訣を言うとすれば、ポイントは握るときの力加減ですね。繊細な握力でふわっとさせるのがコツです。よく板前さんも空気を入れ、スナップさせて握ると言いますが、そこがポイントになりますね。
──なるほど、それはありがたいアドバイスです。
手巻き寿司もいいですが、ぜひカリフォルニアロールにも挑戦してほしいですね。今日は和牛も用意していますので、和牛巻きも作ります。これは働いていたお店にもなかったオリジナルです(笑)。外国の方をパーティに招待したときなんかにも喜ばれそうですよね。ぜひいろいろ試してみてください!
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海藻悠介
セールスエージェンシー「ON TOKYO SHOWROOM」に所属。クライアントに〈クリストファー ケイン〉〈クリスチャン ダダ〉〈タロウ ホリウチ〉〈メゾン エウレカ〉などを持つ。2019年1月12日(土)には群馬県桐生市にあるセレクトショップ〈st company(群馬県桐生市川岸町177-4)〉で、カリフォルニアロールを振る舞うとのこと。お近くの人はこの機会にぜひ。